2011.05.30 のニュース
風評被害にも確実な賠償を
大震災に伴う福島原発事故の被害は未だ続いている。石油販売業界も同様に深刻な被害を受けている。直接的な被害は避難区域、計画的避難区域内にある37力所のSSが営業を停止していることだが、緊急時避難準備区域に指定された地域のSSは住民の多くが自主避難をしているため売上げなどが激減している。
石油販売業の被害はこれだけでない。規制区域以外の地域にも広がる風評被害である。放射線量がマスコミによって毎日報道されることから、規制区域に隣接する地域では城内の交通量や観光客が減少していることから売上げが減少している。
原発から60キロ以上離れているにもかかわらず、放射線量などの氾濫する情報によって、その地域に所在する支店・営業所などが相次いで撤退したり事業を縮小している。そのためガソリンなどの売上げが減少している。また、主要取引先である工場などが規制区域内にあることから、軽油や灯油などの販売がなくなってしまったり、売掛金の回収もできないところも出ている。
新聞、テレビを通して連日のように報道される放射線情報。測定値に基づく報道ではあるのだろうが、周辺だけでなく遠くに住む人たちにも不安を投げかけている。その影響は
福島県だけでなく隣接する茨城、宮城にも及んでいる。やはり原発に近いということで農産物への懸念が広がり、実際に出荷に深刻な影響がでている。同様に観光客の減少も広域
に及んでいる。
いま、全石連は、原発事故に伴う直接的な被害、間接的な風評被害を受けている事業者に対し損害賠償の対象とするよう要望している。既報のとおり原子力損害賠償紛争審査会でも、この被害状況を説明し、直接被害だけでなく広範囲にわたる風評被害の具体例を示して、石油販売業者への賠償を求めている。
一方で、石油組合などでこうした震災被災地や原発事故の直接被害や風評被害を受けている人たちの応援を目的にした取り組みも広がっている。先週22日、東京・板橋区役所周辺や同区内の6ヵ所のSSを特設会場に被災地農産物の販売会が開催された。石油協会の理事でもある久留島守広東洋大学教授を介して同大学と全石連、東京石商がタイアップした応援会だ。業界は被災者や被害にあっている仲間をさまざまな方法で応援している。