日刊ニュース

2011.05.30 のニュース

HCなどの攻勢で実勢市況は急落 ―調査価格は仕切下げ見合いで推移―

石油情報センター調査(23日実施)のガソリン価格は149円50銭/Lとなり、前週の151円10銭に比べて1円60銭の値下がりとなった。四捨五入では150円となり、5月2日が153円であったため、通算すると3円の値下がりとなった。この間、仕切価格が3~4円の値下げとなっているため、これに見合った値下がりとなる。
 経産局別で見ると関東が148円、中部、近畿が149円、東北が150円、北海道が152円となっており、関東が最安値となっている。茨城、群馬、埼玉が146円、千葉、神奈川が147円、東京が151円となっており、前週に比べると2円程度の値下がりとなっている。街道沿いの看板価格でみると140円の前半であり、HC、量販店は140
円を割っており133円となっている。
 原油価格が5月入りで急落したため、先物、業転市況が下落、安値になった業転玉を手当てしているHCなどが攻勢をかけている。HCは仕入れ価格に5円のマージン加算で経
営が可能としており、5%の消費税を入れても130円前半で販売して利益があるとしている。そのため、不当廉売には該当せず、系列SSの販売価格に比べると10円以上の価格差が生じることになる。
 HCは5円のマージンで経営が可能としているが、系列の量販店などもこれに対抗できるとしており、HCの1円高で追随することになり、安値合戦が展開されている。この間にあって、一般の系列SSのマージンは10円以上が必要であり、マージン減で苦戦している。
 今年のI~3月は各社の減産対応で需給も締まり、原油価格も値上がり局面となったことで、元売、販売業者もマージンを確保した。3月11日に東日本大震災が発生して大きな被害を受け、石油製品の需給は異常事態となったが、供給は確保された。結果として、元売3月間業績は増益の好決算となった。その後、4月は大災害の影響で販売数量は減少したが市況は維持された。だが5月に入って原油価格が暴落、需給状況も平常化したこともあって価格競争が再燃してきた。販売数量の減少も市況下落を加速させることになった。
 元売の5月次業績となると、足元は高値の原油を処理しており国内の市況は下落しているため、厳しい状況にある。原油価格はWTIで4月には110ドル/バーレル台であったものが5月に入り100ドルを割って97~8ドルへと下落した。だが、再度、100ドルに乗せるなど、流動的な動きをみせており、今後も予断を許さない。
 販売業者も、4月までは需給も安定し、ガソリン市況も安定していたためマージンを確保できたが、5月に入って市況が急落したため、マージン減少で苦しくなってきた。
 原油価格の下落で仕切価格も値下がりとなった。その結果、ガソリンの末端市況が値下がりしたが、問題は仕切価格の値下げ幅よりも末端市況の下落が大幅なことである。石油情報センターの調査価格でみると、平均は150円となっているが、市況実勢は140円の前半であり、調査価格との間に大幅な価格差が生じている。下落局面ではHCなどが先行して値下げとなっているが、原油価格が値上がりに転じているため市況の維持、立て直しが急務となってきた。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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