日刊ニュース

2011.06.06 のニュース

数量不振を補う採算性向上

 経産省統計によると、4月のガソリン内需は前年比12%減、数量自体も14年ぶりの少量にとどまった。総務省家計調査などから推計する4月の全国ガソリン購入数量は平均11%減となるから、ほぼ一致するガソリン消費動向が判明する。
 この不振は、大震災と原発事故による自粛ムードが最大の原因だが、総務省統計から解析される地城間の温度差の大きさには驚愕する。被災地の大不振は理解できるが、それらと遜色のない危機的な数字が首都圏や北日本の主要都市に並ぶ。大雑把に言って、政令指定都市を中心に、代替交通機関が充実する大都市でのガソリン消費が劇的に抑制され、さらに生活必需品ではあっても、北日本の地方都市でもガソリン消費は抑制された。ところが、西日本では、ほぼ平時に近い数値を示した都市が多く出た。
 幸い、石連統計による出荷量などから推計する5月販売も3%減を示しているか、それでも3.11直後を大底に、自粛ムードに覆われたゴールデンウイークを経て、少しずつ平時の状況に近づいているようではある。
 3.11以降、観光業を筆頭に、半減という表現が冠されている事業分野と比較すれば、ガソリン小売業の被災は全体で見れば、まだ軽微だ。
 被災して、資本もお客様も、経営資源をすべて失ってしまった仲間の視点で考えてみる。見えてくるのは、自然の猛威から距離があり、ほぼ無傷である自身の恵まれた姿だ。
 卸が2円しか値下がりしていないのに、大資本の量販PB店と元売系の地域大手が値下げ合戦を繰り広げて、10円近い廉売被災に巻き込まれてしまった地域SSの視点で考えてみる。見えてくるのは、幸いにも大資本PB店は域内になく、まだまだ市場も市況も掌中にある自身の恵まれた姿だ。仮にPBがあっても、同業の地城リーダーが、採算を重視する経営を継続する地域のSS事業者も幸いだ。
 小売価格調査では5週連続、卸価格指標も横ばいを含めて6週連続で値下がりしていたガソリンは、今週末から再び反騰に転じそうだ。ベースとなる原油価格、引っ張り合うアジア市況と国内先物。このいずれも上昇シグナルを発している。さらに最大の牽引力を有する「外販」が、この週末から5週ぶりに値上がりとなる。経営浮上への契機とすべきタイミングである。

提供元:全国石油商業組合連合会
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