2011.06.07 のニュース
再評価されるべき石油とSS
7月から電気料金が値上がりとなる。その解説によると、7月料金は2~4月の平均燃料価格を基に算定され、その内訳は1~3月比で原油が6.9%、LNGは4.4%、石炭が3.4%値上がりした結果という。原油高騰のリスクを、家庭を含めた全需要家に自動的に転嫁できる仕組みである。さらに、ほぼ地域独占という強力なバリアによって、その経営が保護されている。都市ガスもこの法則が適用されている。
ここまでのエネルギー領域を行政では「公益」でくくっている。しかもその上位企業は、資源から小売に至る全サプライチェーンを、単一企業として展開する。石油は、その領域外にある。
10年3月期業績は、民間電力世界最大という東電が売上5兆円、営業利益2800億円、都市ガス首位の東ガスは1.4兆円、850億円であった。この期のJXの旧2社合計は9兆円、1300億円であったが、石油精製販売の在庫評価を除けば1360億円の経常損失であった。ここに温暖化ガス25%削減、環境税導入という政府方針が加わり、電気と天然ガスに対して、市場を割譲せざるを得なくなる石油、という構図ができあがった。原子力を全面に、電力会社がより強力になる未来図だ。しかし、3.11が起こった。
この国が、石油製品に対して、鎖国状況を作ろうとしており、そのことが可能ならば、遅まきながら、石油も電力やガスのように、「公然の領域に入り込む道があるのかも知れない。価格変動のリスクを、お客様個々に転嫁できる仕組みである。
近隣アジアでは中韓を筆頭に精製増強が目白押しだ。経済成長を牽引する産業向けに中間留分に焦点か当てられるが、ガソリンは中期的に過剰という状況か続く。そのガソリンは日本も有力な仕向け地となろう。
近隣アジアの需給、TPPを含めた国際関係という流れは、我々の領域の外側にある。かつ過疎地のSSインフラ問題、そして3.11で我々の仲間が大きな力を発揮した「公益」性を再評価し、製販ともに、より「地球環境に優しく」かつ「強固な企業体質」を獲得する。元売は、より「高い国際競争力」を備える。SSは、より「地城社会におけるインフラ性能」を高める。
規制緩和一辺倒だった石油政策を、これらの方向へと修正する。これを全石連は求め続ける。