2011.06.08 のニュース
ガソリンHCの安値販売が問題 ―業転と仕切の価格差拡大に反発―
HCのガソリン安値販売が目立ち、再び販売業者サイドでも問題となってきた。全石連関東支部でも議論となっているが、その背景には業転市況と系列仕切価格との間に大幅な価格差が生じてきたと指摘されているためで、販売業者から反発が強まっている。
HCの安値攻勢が是正されないと販売業者の業績は悪化する一方であり、元売のマージンも減少することになるため、元売の販売姿勢が問われている。HCへの供給は、大手業者、商社系を通じて行なわれているが、①元売が全く知らないことはない、②大震災時でも営業していることから太い供給ルートがある、③系列SSは供給カットされて休業して
おり不合理である、などの不満が出ている。
このHCの安値は、再三、公取委に不当廉売で申請しているが、該当しないとの判断が下されているため、販売業界としては深刻な問題となっている。クロと見なされる差別対価も元売からの仕入れでなく業転玉を購入しているため、これもシロとなり、法的には打つ手がないのが実態である。
市況の下落を防止するため、元売に対しては安い業転玉を放出しないよう要請している。石油商売は、末端の販売価格とコストを差し引いたグロスマージンを元売と販売業者で分け合うことになる。元売のみが多くの利益を確保することはできず、販売業者が赤字となれは、元売の業績は悪化する。一時的にはどちらかのマージンが増加するケースも発生するが、長期的にみればイーブンとなる。また、販売業者も安い業転を購入することの方策もあるが、系列SSは、実際に業転玉を購入するには元売の反発もあり難しい。
最近のHCのガソリン販売価格は133円であり、さらにカード割引きもあるため130円割れも散見される。系列SSの堅調地区は150円を維持しており、その価格差は17円となる。このように販売価格で価格差が生じているが、この状況は長くは続かず、系列SSは値下げに追い込まれ、末端市況の値下げに拍車がかかっている。
HCは薄利多売の経営方針であり、ガソリンは目玉商品であるため、5円のマージンで経営が可能となるとしている。だが、一般SSは10円以上が必要とされるため、その差が5円以上もある。HCの仕入れ価格は業転市場からの購入のため122円であるのに対して、系列仕切価格が約128円であり、その価格差が6円あるため、HCが優位という状況にある。
元売は昨年4月から新・新体系へと変更、ブランド料などを加算した。そのため系列仕切価格は業転市況に比べて高値となり、元売のマージンが増加した。
5月に入ってガソリン市況は急落して業績は一気に悪化してきた。末端市況の急落はHCの安価攻勢にあり、これに系列の量販店が追随したため、周辺SSの経営が悪化してきた。とくに、業転市況が先行して値下げとなったため、仕切価格との間で大幅な価格差が生じてきた。仕切価格も値下がりとなったが、仕切価格の改定には、原油価格などのコストを加味することになり、業転市況に比べると仕切価格は高値となってきた。