2011.06.09 のニュース
エネ制作と並行で石油政策を検討 震災対策と構造問題~安定供給策を再構築へ~
来年度の石油政策については、エネルギー基本計画の見直し(原発の見直し)が柱となるため見定めが難しいが、①大震災を前提とした安定供給対策、②石油需要の減少に伴う構造問題がテーマとなる。政治が流動的であり、菅総理の退陣、大連立、内閣改造などが予想され、新しい体制が発足するとエネルギー政策も変わるため、事務局(経産省)の対応も流動的である。海江田経産大臣によるエネルギーに関する有識者会議、総合エネルギー調査会での議論の進め方もトップが代わると振り出しに戻ることになる。大震災によって製油所、輸送機関、油槽所。SSに至るサプライチェーンの維持が重要視され、大震災に備えてのこれらの供給網の完備が求められる。そのためには平時から供給力、設備の増強を推し進めなくてはならず、その負担のあり方などが問題となる。
安定確保策については、補正予算でも、精製設備と油槽所の補強SSに対しては信用保証などの補助、離島対策などが計上されている。
来年度予算では、供給確保策を重視する政策が打ち出されているが、国が主体となれば予算を要求することになる。民間企業が実施するとなると、投資が可能な利益確保が必要となる。
大震災に備えての製品備蓄、設備の増強策などの資金が伴うが、誰が負担するのかにかかってくる。国が実施すれば税金となり、増税も検討される。
また、構造問題については、石油の需要が大幅に減少する見通しとなってきた。
現行のエネルギー高度化法による設備処理問題(現在は中断)は、製油所の操業が再開すれば復活する。需要減が加速するのか、景気回復するかによって、23年度の需要見通し(現在は未定)も変わってくるが、今のところ、石油元売各社の自主的な対応で臨んでいる。
原発の見直しで、石油火力へのシフトも予想されるが、今のところ休止している石油火力を立ち上げることになる。
当面はC重油が供給増となるが、原発に代わって、新規の石油火力発電所が建設されることは難しいとみられているため、石油需要が増加しても一過性なものとなる。