日刊ニュース

2011.06.15 のニュース

全石連総会 元売と販売業者 協調を確認 ―老朽タンク保有者の運営継続は予想以上―

 全石連・通常総会は9日に東京の石油会館で開催されたが、本来は福島県郡山市での開催予定が大震災の影響で中止となったため、出席者も各県石商から2名程度の動員となり、小規模な総会となった。それでも元売と販売業者の代表が年に一度、一堂に会して意見交換を行なう場としては意義がある。懇談会では、開催が東京となったこともあり、元売各社は社長、首脳が出席した。
 今年度のスローガンは『被災組合員の復旧・復興を支援しよう』となつており、被災地である東北、関東地区の組合員に対して支援、協力することを確認した。被災地のSSも立ち上がり、平常に戻ったが、今回の大震災を機に、サプライチェーンの最後の砦であるSSの維持が重要であることが実証された。だが、製油所がフル生産で対応したため供給増となり、販売業者による価格競争も展開され、ガソリン市況は急落した。大震災の教訓を生かすことができずに今日に及んでいるとの反省点も指摘されている。
 販売業界の安定経営が望まれているが、それには元売の需給適正化に向けての努力が不可欠である。供給増に対して各社が減産、抽出増で対応しているが、一度緩和した需給を締めるには時間がかかるため、厳しい状況が今日まで続いたといえる。
 元売サイドもJX日鉱日石エネルギーの発足で、シェア35%の大手元売が登場、EM、昭和シェル、出光、コスモという大手4社体制が整い、需給調整への取組みも容易となってきた。その後に太陽、三井、キグナスと続くが、需要減を前提にした供給体制の構築が求められている。
 大震災で一時的に過剰設備問題は凍結されたが、今後の石油需要は減少が加速するため、設備処理問題は避けることのできない問題となる。
 今年度の政策的な課題は、2013年で期限が決められている問題として、元売は設備処理問題、販売業者は老朽化した地下タンクの補強に取り組むスタートの年となる。40~50年を経過したSSの地下タンクの補強が消防法の改正で義務づけられている。その対象となるSS数は4400件あるが、今年度の申謂受付で約2000件が、申し込みとなった。予算は22億円を計上したがこれをオーバーしており、抽選となっている。抽選にもれたSSは来年度に再度申請することになる。
 当初の見込みでは、タンクの補強で経費がかかり、規制強化が実施されるのを機に対象となるSSの多くは廃業すると見られていた。だが、今回の申謂では予想以上のSSがタ
ンクを補強してでもSS経営を継続することを実証した。補助制度を活用し、再投資してでも継続する業者が多いことは朗報といえる。供給網の確保に対しての責任感と再投資しても利益が確保できるとの見通しとなっているためである。今年度は老朽化したタンクを持つSS経営者は、経営を継続するか、廃業するかの選択に迫られる年となっていた。
 一方、販売業界の勢力図も特約店が中心であったものが、大きく変化してきた。異業種のHC、PB、量販店、元売販売子会社などのシェアが拡大しており、系列SS(組合員)
の数が大幅に減少している。それでも市況対策などでは、系列SSが中心で取り込んでおり、イザという時は、元売も石商を頼りとしている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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