日刊ニュース

2011.06.22 のニュース

ガソリンの末端転嫁本格化 業転値上がりで仕切り値上げ ~原油価格の下落が心配に~

ガソリンの業転市況が値上がり、元売の仕切価格も18日から値上がりとなった。ガソリンは在庫も195万KLと200万KLを割り込む低水準であり、需給はタイトとなっている。製油所の定期修理による減産、ガソリン製造装置の不都合もあり、需給は締まってきた。さらに、元売は市中買いもあって、大口のバージ物(海上物)が値上がりしている。本来は、小口のローリー物が高値であるが、最近は逆転してバージ高となっている。元売サイドのバージによる多量の買いが行なわれているためである。そのためバージ物が75~76円/L(ガソリン税を除く)となり、ローリー物が71~72円と大幅な価格差を生じている。大震災の影響で製油所が操業を停止しているJX、コスモが買いポジションとなっている。そのため業転市況が先行して値上がりしており、元売が仕切価格の値上げを実施する環境は整備されている。ただ、ここにきて原油価格が値下がりしており、ユーザー転嫁に影響する心配も出てきた。原油価格は17日のWTIが93ドル/バーレルと急落してきた。上旬には100ドル台で推移していたため、一気に7ドルの値下がりである。一方、ガソリンの仕切価格は18日から2円程度の値上がりとなっているもので、今までの値上げ分を加算すると3円50銭程度の値上げとなる。
 末端市況は、ここにきて値上がりしており、首都圏の街道沿いのボトム価格は140円台に乗せてきた。143~5円へと値上がりしているもので、130円台が消えてきた。HC、量販店も、業転市況が値上がりしてきたため、値上げに転じてきた。
 これからユーザー転嫁が本格化することになるが、原油価格が値下がりとなっており、見通しが難しくなってきた。原油価格は下落しているが、逆に国内市況が値上がりとなり、その間にタイムラグが生じている。
 原油価格は、OPEC総会で増産が見送りとなり、その直後には、値上がりしたが、アメリカの物価上昇、経済・景気指標の後退、ヨーロッパの財政不安というマイナス要因が多く、中国、インドの経済成長によるプラス要因が相殺されている。さらに北アフリカ、中東の政治不安とが重なり、流動的な動きをしている。
 また、WTIは、アメリカの国内の事情が反映する指標となり、世界的にはブレント、ドバイが指標となってきた。そのためWTIの変動よりもドバイの値動きが注視されている。WTIが値下がりしているが、ドバイは比較的高値で安定して推移しており、原油価格の動きを冷静に見定めるべきである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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