日刊ニュース

2011.06.22 のニュース

仕切り値上げの時期に原油は下落 ―タイムラグ発生もユーザー転嫁に取り組む―

 ガソリンの仕切価格は、6月から値上げに転じていたが、様子待ちが続いたものの、ここにきてユーザー転嫁の動きも本格化してきた。しかし、ユーザー転嫁に取り組む直前に
なって原油価格が下落しており、市況対策に水を差すとの心配も出てきた。原油価格と国内市況との間にタイムラグが生じることは度々あるが、今回は国内のガソリン需給が締
まっているため、当面の原油下落の影響は受けないとみられている。原油価格はWTIが急落しているが、国内の市況に関係する中東産は比較的高値で推移している。
 仕切価格の改定は、至近の業転市況、原油価格などのコストの変動をみて週決めで実施しており6月は4日(土)から以降、11日、18日と連続して値上げが実施されており、通算で3円50銭/L程度の値上げとなった。仕切価格の値上げは原油価格の値上がりを反映しているが、ここにきて原油価格はWTIで100ドル/バーレル台であったものが95ドルヘ、さらに17日には93ドルへと急落、中東産も106ドルへと下落している。
 仕切価格の値上げ通告直後の原油価格が値下げとなり、そのためガソリンなどの仕切価格の値上げを打ち出すタイミングは難しいところであった。国内市況は値上がり、逆に原
油価格は下落となり、その間でタイムラグが生じていることは、仕切価格の改定を週決めにしても時折あるが、これは原油価格の変動が激しいためである。最近の仕切価格の値上
げは、国内の業転市況が値上がりしているのと、足元の処理している原油は高値在庫であり、コスト高で推移しているためである。足元の原油価格は下落しているが、コスト高。業転市況が値上がりを受けて仕切価格の値上がりとなり、販売業者はユーザー転嫁に取り組むことになったもの。しかし、原油価格が今後も下落が続くと、ユーザー転嫁が空振り
となることも予想されるため予断を許さない。
 すでに仕切価格の値上がりが実施となっているため、ここでユーザー転嫁を見送ると仕切価格の値上げ分は販売業者がかぶりとなる。
 今週にはユーザー転嫁に取り組むことになるが、今後も原油価格の値下がり続くことになると仕切価格は値下がりとなるが、当面はユーザー転嫁に取り組むことが先決となる。
 ガソリンは仕切価格の値上げを受けて、安値は底上げされ130円台の安値販売は減少してきたが、これからユーザー転嫁が本格化する時期にあり、販売業者サイドも足並みが
揃ってきた。
 最近の仕切価格は3月が値上げとなったが、3月11日の東日本大震災を機に、その後は4月ともに横ばい、5月は値下げとなり、末端市況は急落した。6月になってから再度値上げとなってきたもの。このように仕切価格は上げ、下げが繰り返しで続くことになるが、販売業者の対応は、値下げは早く、値上げが遅れるのが常であり、その都度マージンをはき出すことになる。
 仕切価格の値下げとなり、末端市況が下落する時は仕切価格の値下がり分以上に値下げすることになる。仕切価格の値上げ時期は、ユーザー転嫁が遅れて、値上げ分を満額回収
できず、かぶりとなる。今回も原油価格が下落しているため、早急にユーザー転嫁しないとかぶりとなる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE