日刊ニュース

2011.06.30 のニュース

1位ガソリン、2位灯油

 SS店頭の小売価格調査を眺める仕事を長く続けていると、その推移と背景が透けて見える。湾岸戦争とともに月決め仕切り体系が導入された20年前は、ガソリン独歩高であった。特石法の廃止でそれが崩れた15年前には、前提としてSS関連3油種は税別ではフラットな価格体系となった。それ以降の今日に至る過程でセルフが解禁され、非価格・高収益商品だったハイオクは、SS収益としての値打ちが下がり続け、収益としてはほぼレギュラー並みで、レシオは下がり続けている。数量は少ないが、ガソリンよりも軽油や灯油の粗利が大きいSSは数多い2011年。
 過去20年間を振り返ると、お客様視点では物価の優等生となるが、我々SSにとっての石油製品は、その価値を下げ続けた。特にガソリンの価値低下は著しい。だれがその価値を低下させたのか、と聞くと、元売と言う者、エネルギー行政と言う者、我々SS自身と言う者。いずれも的を射ているのだろうが、石油の当事者側であることは間違いない。
 SSガソリン粗利25円という時代が確かにあった。その時代にも価格競争が全国津々浦々にあったが、それは同一地域のSS専業者間の競争であり、広域出先SSと地場SSという図式であった。25円時代への回帰を唱えるには、その距離が絶望的に遠くなっている。石油の価値を量販材料にしか見出していない異業種SSが中枢にあり、系列を離脱したPB事業者か企業規模を拡大させている。さらに栄光の過去は遠ざかっている。そしてこれらを育成しているのか、系列劣位・PB優位の卸体系にある。短絡的にくくると、精製元売がPBを優遇・育成しているという構図である。
 まだ春遠かった3.11被災地で、被災者にとって最も必要な物資は、という設問に対する答えを聞いた。衣食住を含めたあらゆる物資・サービスの中で、1位はガソリン、2位が灯油だった。厳冬期なら灯油の支持者が増え、暖かい時期ならガソリンがより支持者を集めることだろう。そして被災者のそのニーズに即座に応えたのは、PBや広域出先SSではなく、ガソリン、灯油の1Lの価値を落としたくないと20年間頑張り続けてきた地域の系列SSである。
 石油の価値は、実はお客様が一番良く承知していた。元売も行政も、そして我々SSが、当事者として石油の価値を高める道に戻ろう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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