日刊ニュース

2011.07.07 のニュース

HC、量販店の安値攻勢が続く ―安値業転玉の放出が争点に―

 HC(ホームセンター)のガソリン安値販売が目立ち、再三、販売業者サイドでも問題となっているが決め手がない。各石商、支部でも議論となっているが、その背景には、業転市況と系列仕切価格との間に大幅な価格差が生じてきたと指摘されているためで、販売業者(組合員)から反発が出ている。
 しかし、安値か否かは、その立場で違うのと、ユーザーは安値を歓迎するため、安値販売が不当であると問題にして調整する場がない。
 HCの安値攻勢が是正されないと販売業者の業績は悪化する一方であるが、異業種、非組合員であり直接交渉するにもパイプがなく、対応に苦慮している。対応策をエネ庁、元売に求めても、回答を得ることは難しい。
 法的には独禁法の不当廉売、差別対価に該当しているのではないかと公取委に申告しているが調査すると、いずれもシロの判定であり打つ手がないのが実態である。
 HCへの供給は、大手業者、商社系を通じて行なわれているが、ガソリンの供給元は元売であり、元売が全く知らないことはないという不信感が強い。さらに、大震災時でも元
売の系列SSは供給がカットされて休業したが、HCは営業していることから太い供給ルートを持っている。系列SSは、高いブランド料を払っており、供給はカットされないと信じていたが、結果的には、一律供給カットで休業に追い込まれた。
 HC、量販店などの安値販売などに対しては公取委に不当廉売で申請しており、公取委も、運用を強化して直ちに調査しているが、いずれも「注意」止まりの判定で、安値販売を是正する効果は薄い。周辺の販売業者が安値と指摘しても、公取委はHCの販売価格は、妥当な相場と判断したことになる。
 平成22年度では石油販売界では、公取委から「注意」を受けたのが714件と多いが、安値販売として是正されたケースはない。申請件数は注意の3倍となっており、多くの周
辺販売業者が申請していることになる。公取委の「注意」の判定は「違法行為に足りる証拠が得られないが、将来違反につながる恐れがある場合」としており、シロでもなくクロでもなく、グレーゾーンである。文字通り「注意」であるためペナルティーの対象とはならないため、申請しても効果がないと、あきらめムードも出てきた。安値販売(不当廉売)と申請しても、これは周辺売業者の判断であるが、仕入れ価格が分らず、想定した以上の安値で仕入れているため、不当廉売に該当しないとの判断が下されている。
 不当廉売を実証するには仕入れ価格が差別対価となっているか否かが問題となるが、これも大手業者から業転玉を購入しているため、その時点での相場となり、実態を把握することは難しい。業転市況の方が、系列仕切価格よりも安いのが当然である。今までも安い業転価格が差別対価に該当した例はない。系列内での仕切価格差は問題となるが、業転は相場そのものであり、安いから買うが、高値であれば買わないため自由市場である。
 すでに業転市場を容認しており、元売が業転玉を放出しているため、安値で放出すべきではないと要請するしか方策がない。そのため、市況の下落を防止するために元売に対しては、安い業転玉を放出しないよう要請しているが、これも需給次第で供給増になると業転玉が出回るため阻止することはできない。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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