日刊ニュース

2011.07.08 のニュース

ガソリンの安値増販は自滅 ―適正マージン確保を優先―

 ガソリン販売は、マイナスが見込まれているが、販売減が続く状況下で、いかに適正マージンを確保するかが、今後のSS経営の課題となる。これから7~8月の夏場商戦に入るため、販売業者は増販、増益を狙って対応するが、安値販売で増販を狙うよりも、数量を我慢して採算販売に徹すべきである。夏場商戦入り前に同じことが指摘されるが、大震災後の初めて増販が期待される時期であり、販売業者の対応が注目されている。
 ガソリンの4月販売は前年同月比で12%減と大幅な減少となったが、5月は0.5%減となり、減少幅が縮小されて需要が回復の兆しがみえてきた。東日本大震災後の異常事態から脱し、平常化に移行したが、完全に元に戻ることはなく今後も5~6%の減が予想されている。
 東日本大震災の影響で東北地域の景気回復が大幅に遅れるのと、新車販売の減少、省燃費車の増加、若者の車離れなど増加要因はなく、昨年のような猛暑が到来してもガソリン販売はマイナスとなる。
 最近のガソリン需要見通しでは年率2~3%減を見込んでいた。しかし、平成22年度のガソリン販売は猛暑の影響もあり1.5%増と、マイナス予想を上回ってプラスに転じた。22年度は発射台が高くなっており、そのため今年度(23年度)は、その反動もあり落ち込みは大きくなるとみられている。
 天坊・石油連盟会長は「ガソリン需要は伸びず、売れないのは販売価格であると思って安くして販売しても需要が増加することはない。自分に仕入れた価格を参考にして、適正マージンを加算して販売すべき」と述べている。
 22年度は、ガソリンが増販となったこともあるが、他の石油製品の需給が締まり、元売はマージンを確保したことで大幅な黒字計上となった。販売業者も同様にマージンを確
保して、利益を計上することになり、まずまずの決算となった。元売も、2年間赤字が続いたが、ようやく本業の石油製品で黒字計上となった。
 この好決算を23年度も継続したいところであるが、大震災の影響で見通しは厳しくなってきた。それでも元売各社の見通しでは、需要減を予想しながらも、前年を若干下回る利益を見込んでいる。
 ガソリン市況は3月から4月にかけて値上がり、150円台に乗せたが、5月には下落、6月中旬まで値下がりが続いた。6月の仕切価格の値上げを受けて、ユーザー転嫁に取り組み、首都圏では月末にようやく、街道沿いでボトム148円相場に戻した。
 これから7~8月の夏場商戦に入るため販売業者も増販期待は大きい。咋年は猛暑で7月で前年比7.6%増と大幅に伸びた。今年も6月末から気温が上がり、猛暑が予想されている。今年は福島の原発問題で節電対策を要請されるなど、夏休み、レジャーなどでも節約ムードが強くなっており、昨年を上回ることは難しい。
 8月は旧盆休み、帰省に車を利用することになるが、好天になれば昨年並みの販売が見込め、天候不順では減販となる。ガソリン販売は天候次第で増減がハッキリする。7月のスタートは、猛暑となっており、増販見込みとなっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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