日刊ニュース

2011.07.12 のニュース

ガソリンのグロスマージン ―取り分は元売が多く、販売業者は減少―

 元売が仕切価格を見直し、ブランド料を加算したことから、系列仕切価格が実質値上がりとなり、その結果、元売の業績は改善されて増益となった。22年度の元売の決算は増益となり、ガソリンのグロスマージン(元売と販売業者の合計)の取り分は元売が多く、販売業者は少ないという結果となっている。
 そのため販売業者からは「価格体系のあり方は元売・販売業者どちらかが利益を占めるのではなく、お互いが生きていくことができる利益を得て、はじめて共存共栄できる」との意見が出ている。
 ガソリンのグロスマージンは規制時代には約40円/Lあったが、現在は20円に縮小されている。この20円を元売と販売業者で分け合うことになるが、うち元売の取り分が12円、販売業者の取り分が8円という割合になっている。元売は大手が5社に集約化されたことで数も減少して体質も強化されてきた。とくに35%のシェアを持つ、JX日鉱日石エネルギーの発足で、競争体質も緩和された。
 さらに元売は今回の仕切価格の見直しで石油製品マージンを確保したことで、本業の石油で利益を確保したことになる。販売業者も東日本大震災を機に需給が締まり、適正マージンを確保することになり、まずまずの利益を確保した。だが、その状況も長く続かず、価格競争が展開されたことでマージン減となってきた。ここにきて元売と販売業者との間に格差が生じることになる。
 販売業界の過当競争は、以前はSSが多いことが指摘されていたが、ピーク時の6万SSから3万9000SSへと約40%が減少したが、それでも現在は60%のSSが赤字で苦しんでいるのが実態である。SSでのガソリンマージンの減少が経営難とつながっているが、価格競争はエンドレスで展開されている。
 その要因は、HC(ホームセンター)、量販店、元売販売子会社などのシェアが拡大したことで、低マージンによるSS経営がモデルとなり、薄利多売が主流となっていることにある。
 販売業者のガソリンの適正マージンは、幾らであるかが議論となるが、特約店系もSSでは10円以上の12円は必要とされている。だが、HC、量販店では5円でも採算が乗るとしており、これには対応できず周辺SSは撤退している。HCは安い業転玉を手当てしており、仕入れ段階でも系列仕切価格に比べ5円以上の格差があり、販売価格でもマージンは5円で設定するためトータル10以上の販売価格差が発生している。業転市況は125円であるのに対して系列仕切価格は130円となっており、5円以上の価格差がある。
 系列仕切価格は130円/Lに、消費税5%を加算すると137円となる。販売価格が148円とするとマージンは11円となる。首都圏のボトム価格が148円であることからマージンは約10円というのが相場となっている。しかし、マージン10円以下のSSも多いため、油外収益でカバーしているが、東日本大震災後はユーザーの節約ムードが浸透して油外収益も減少しており、これ以上マージンが減少するとSS経営は一段と厳しくなる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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