日刊ニュース

2011.07.14 のニュース

踏ん張る甲斐のある業界に

 今年3月末の登録SS数は3万8777ヵ所。ピークは1999年度末の6万421ヵ所だから、36%ものSSが姿を消したことになる。ところが、ざっくり言えばその間には新設が1万力所あったのに対し、廃止はなんと3万力所にも達した。道路拡張による収用、街中のフル廃止、新たな幹線道路へのセルフ進出、競争熾烈化に伴うセルフ撤退など理由はさまざまだが、地域社会とともに歩んできたインフラが相当少なくなったのは紛れもない事実だ。一方、登録業者数は1万9694人。同様にSSピーク時と比べれば38%、1万1865人が廃業している。
 SS跡地は次々と姿を変え、かつてSSが存在していた時の記憶は遠退いていくが、それに比べ、同業仲間の顔や思い出はすっと思い浮かぶ。廃業しても、職・住が近接していたかつての仲間は、いまも地域社会の構成メンバーだ。顔を合わせれば、業界の窮状を「さもありなん」と同情を寄せてくれるだろう。しかし、SSの減少に歯止めがかからないにもかかわらず業況が好転しないようでは、「早くやめてよかった」ということになる。厳しい中でがんばり続けている“甲斐”がないのは残念に過ぎる。
 東日本大震災を機に、社会が石油の重要性を再認識し、安定供給は販売業者による配達やSS店頭を通じてなされていることに気付いた。また、東京を中心とする首都圏では帰宅困難者の支援に尽力したSSも多く、サポートを受けた消費者が顧客になったという話も聞いている。単純試算だが、1SS平均ガソリン月間販売量は94年度が69KL、00年度が91KL、05年度が108KL、10年度が125KL。1SS当たり平均のガソリン車保有台数は94年度が862台、00年度が1121台、05年度が1396台、10年度が1722台。SS経営の基本ペース指標は良化している。悪い材料ばかりではない。
 但し、フル・セルフ格差、個人・法人格差は小さくない。不景気、低燃費化で来店頻度や需要へのマイナス影響が懸念される。老朽地下タンク規制への対応も急がねばならない
し、そろそろ外観の設備投資もしたい。その源泉は、燃料油や油外販売の収益であり、仕入価格・作業料とお客様からいただく対価との差額である。廃業した昔の仲間やSSから、
 「踏ん張った甲斐があったね」と褒められる業界でありたい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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