日刊ニュース

2011.07.14 のニュース

平均値では前年比20ドルアップ 上期の原油価格動向を分析 ~新たに世界経済への先行き不安~

日本エネルギー経済研究所は8日、2011年上半期の原油価格動向を振り返るレポートを発表した。上半期の米国原油WTIの平均値(期近物・終値)が98.5ドル、最高値113.9ドル(4月29日)、最安値84.3ドル(2月15日)となったが、平均値は前年同期に比べて20ドル上昇した。価格の変動幅は、平均値に対して上下双方向に15ドル前後上げ下げしており、前年同期より5ドル前後大きく変動した。より高価格で大きな変動を示した要因として、中東・北アフリカ情勢の流動化と世界経済への先行き懸念を挙げ、分析している。下期以降の原油価格動向について、特にここ数力月の世界経済動向が非常に重要な要素になっており、7月に入って原油価格が上昇傾向を示していることもあり、波乱含みの展開が予想される、とまとめている。
 レポートでは、上期の原油価格が大きく上昇した要因としてまず、世界の原油供給の要である中東・北アフリカ地域における政情不安により顕在化した地政学的リスクを挙げている。エジプト危機でスエズ運河の通航などに関する危機感から、石油供給途絶への懸念が発生、原油価格上昇に一つの端緒となった。
 2月以降はリビア危機による実際の供給途絶で原油価格が急騰した。サウジアラビアなどによる増産によって一部を補填したが、5月末まで1億3200万バーレルのリビア産高品質原油が失われたと試算されているという。
 こうした状況の中でも、今日の市場は材料を咀しやく・吸収する能力を持つようになった。情勢がこう着状態にあって新たな展開が無い場合、「織り込み済み」として市場は原油価格を上げ続ける力を失う中、新たな材料として登場したのが世界経済への先行き不安だった。
 米国経済の不振、ギリシャの債務問題、中国経済のダウンサイドリスク、東日本大震災発生がこれに当たり、5月以降、世界経済への先行き不安が顕在化、原油価格は100ドルを割り込むことになった。
 このように地政学的なリスクと供給途絶への懸念から価格水準が切り上がり、世界経済への不安が高まる中、両材料のバランスや訪ね合いが原油価格を大きぐ変動させる地合いを作ったと分析している。
 世界経済の動向は今後も原油価格を左右する材料で、中東・北アフリカの情勢もこう着状態にあるものの展開に予断は許されず、今後の原油価格の動向は波乱含みである、としている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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