2011.08.02 のニュース
SS収益の失地回復を急ごう
1日のうちに10ドル近く上下動したり、円高が一気に進んでしまう激しい相場変動が頻発する昨今で、先週の原油は珍しく小幅な値動きに終始した。特に国内向けの中東産原油指標は、上下1ドルのレンジに収まった。
原油相場が一気に跳ね上がって、過去最高値の150ドル近接相場か出現したのは3年前の初夏だった。古い記憶をたどると、湾岸戦争の端緒となったイラクのクウェート侵攻は19990年の8月2日。消費大国の米国がドライブシーズン本番を迎えてもいる。
今年はイスラム社会の不安拡大とともに、北欧の大産油国ノルウェーでは大規模テロが発生した。こうした原油相場を乱高下させる威力を有する事象が起こっている中で、比較的、平穏な盛夏を迎えている我々は、この好条件を自らの経営改善につなげたい。元売各社のガソリン仕切りに関するアナウンスも、外資系は横ばい、民族系は、ごくごく小幅な下げにとどまった。
1バーレルは約159L。1ドル80円の為替相場。この関係を算式で示すと1ドルの相場変動はリットル0.5円に相当する。ドル建ての原油相場を円・リットル換算が平易にできることを覚えておきたい。
ここ数ヵ月、縮小の一途にあったSSガソリン粗利を、健全経営の方向へと再構築することが、この夏場の経営者の使命だ。その使命とは、より多くを売ることではない。より多くを稼ぐことだ。
節電のために、いつもの夏よりも多くの汗を流しているSSスタッフに報いるため、自身の経営を維持するため、健全なSSを存続させることで地域社会により多くの貢献を果
たすため。これらのために数少ない好条件を生かし切りたい。
原油がリットル0.5円値下がりを記録した。仕切り関連指標が0.2円以内の値下がりを示唆し始めた。こうした値下がり材料がちらつく中で、ガソリンの小売市況を維持するには、より強い決意が必要になる。
ガソリン市況に圧倒的に強い影響力を有する原油相場が、平穏のままであることは、まずあり得ない。今週から、また乱高下の度合いを強める可能性さえある。大きく動く相場の前では、上下のどちらに振れても、小売市況を維持するのは並大抵ではない。
夏商戦の書き入れ時である旧盆商戦までに、我々は失地を回復させる努力を続けよう。