2011.08.08 のニュース
来年度の税制改正要望を行う ―政治混迷で成果も期待できず見通し難―
民主党主導による来年度の税制改正要望の公開ヒアリングが経産省の講堂で行なわれた。今回で3回目となるが、束日本大震災の復興対策となる3次補正予算の策定、来年度予算の要求などが検討段階であることと、国会が開催中であったため、朝7時30分から9時までの短時間となり、国会議員の出席者も少なかった。各団体の持ち時間も5分程度となり、要望を説明するのみで終わった。今後、折衝することになるが、年末の税制大綱の決定がヤマ場となる。復興基本計画の骨子が決まったものの、財源(増税)は未定であるなど、予算編成の見通しも読めない状況にある。
民主党の公開ヒアリングは、事業仕分けがTVを使って放映され注目されたが、「財務省のシナリオだ」、「パフォーマンスだ」との批判もあり、下火となっていた。産業界の税制改正は自民党時代は税調が党本部で実施していたが、民主党では経産省での公開実態となった。足下の政治は、菅首相が辞任を表明、8月中には首相交代が予想され、第3次補正予算、来年度予算の要求も9月以降に遅れるなど、異常な状況下にある。税制改正は党内では真剣に取り組むとしているが、次の内閣への要望となるため盛り上がりを欠くことになる。
石油業界は、天坊・石油連盟会長、関・全石連会長、石井・石鉱連税制小委員長などが出席して税制改正要望を行なった。
天坊・石連会長は「東日本大震災で石油業界は、エネルギー供給のラストリゾートとしての重要な役割を果した。安定供給を果たすためにも石油の健全なサプライチェーンの維持・強化が必要である。石油需要が減少する状況下では、SSの過疎化問題な発生しているが、民間企業では限界であり、国か地方自治体などが対策を実施すべきである」と要請した。
税制改正では①石油には5兆円超(消費税を含む)の税金が課税されており、今後、石油に安易な増税・新税の導入には反対である②ガソリン諸税に消費税が課税されているTAX ON TAXを排除すべきである③ガソリン税・軽油引取税は一般財源化されたのを機に課税根拠を喪失したことから本則税率上乗せを廃止すべきである④製油所の自家用燃料に係わる石油税を還付すべき、などの点を要望した。
関・全石連会長は①石油諸税は過重な税負担となっており、更なる過重な税負担には反対である②ガソリン税の消費税のTAX ON TAXは廃止すべきである③沖縄県のガソリン税の軽減措置は継続すべきである、などの要望を行なった。
さらに「震災を受けた東北の販売業者は復興に向け真剣に取り組んでおり、厳しい状況にあるが、安定供給に向けてユーザーの要望に対応しており、支援を願いたい」と述べた。
石鉱連からは海外投資等損失準備金制度の維持・存続を要望した。この制度は時限立法であり、平成24年3月末で、その適用期限が切れる。石油・天然ガスの開発にはリスクが高く巨額な資金を必要とする。資金提供者に対して新増資資源株式の取得に際して、損失準備金の積み立てを認める制度は民間資金の導入に有効な制度であるため、恒久的な存続を要望しているもの。これらの要望がどこまで受入られるかは年末の税制大綱にかかってくる。