2011.08.09 のニュース
エネルギー政策の理想と現実
国家戦略室が主導するエネルギー・環境会議はこのほど、革新的エネルギー・環境戦略の再構築に向けた中間整理で「減・原発」を打ち出した。どのエネルギー源が経済性に優れ、安全保障上秀でているのか、化石燃料や原発の依存度を低減しながらエネルギーセキュリティ、環境への適合をどう確保するのかなどを共有すべき視点に置き、エネルギーのベストミックス、分散型システム、国民合意に関する基本理念について、関係機関の検討をチェックしつつ年末に基本方針をとりまとめ、来年に戦略を提言する。
実現戦略は今後3年間の短期、2020年の中期、30~50年を見据えた長期に分け、省エネの徹底、再生可能エネルギー(再エネ)の促進や地球温暖化対策税・再エネ固定価格買取制度の導入をペースとして謳いながら、石油・ガスの安定供給やリスクに強い供給体制の構築を標榜。また、エネルギーや環境産業の育成を掲げ、電気・ガス・熱の業態を超えた総合エネルギー産業の創出を目論む。
一方、環境省・中央環境審議会も低炭素社会づくりの観点から、早急に実施すべき施策として省エネ・再エネの加速、地球温暖化対策税の予定通りの導入などを訴え、京都議定書の約束期間に続く13年以降の対策・施策に関する検討小委を設置して議論を始めた。
理想像を追う動きが先行する中で、経産省・総合資源エネルギー調査会はエネルギー基本計画の見直しに着手する。基本方針である安定供給、環境適合、市場原理の活用、これに経済成長の実現と産業構造改革を加えた現計画。数値指標を含めたより具体的な見直しは“石油復権”を唱える好機で、逃すわけにはいかない。全石連政策・環境部会は脱石油政策を抜本的に見直し、「SSを中心とした石油サプライチェーンの維持・強化」などを提言することを決めた。3.11対応で社会的評価を得た販売業者は、大勢いる。
過去の大震災ではエネルギー供給・復興基盤となるSSのインフラ機能が注目され、災害対応力を高める個々の努力がなされてきたか、特に人的サポートカに優れた地場中小SSが、老朽地下タンク問題で窮地に立つ。世論は原発依存の低減や再エネ促進に好意的と伝えられるが、石油の位置付けとSSの役割は、当事者たる我々が“消費者のため”に大きな声を上げ、守り抜きたい。