日刊ニュース

2011.08.09 のニュース

原油下落と円高でコスト安に ―ガソリン市況維持 厳しい状況に―

石油情報センターの週動向訓査(1日)によるとガソリン価格は150円80銭/Lとなり、前週に比べ20銭の値上がりとなった。7月中句の149円から見ると2円の値上がりとなった。四捨五入では151円の横ばいとなっている。東京は153円、神奈川は150円台に乗せており150円相場となった。
 しかし、ここにきて原油価格が急落、為替も円高となってきた。4日のWTIは86.63ドル/バーレルとなり前日比で5ドルの下落で99ドルを割った。アメリカは景気後退が懸念され、株価の下落、ドル安となり原油価格も急落してきた。為替も円高となり、日銀が為替介入して戻したが、78~79円/ドルの円高となっている。中東産は107~108ドル/バーレルを維持しているが値下がりとなり、コスト安となってきた。
 そのためガソリンの末端市況は頭打ちの状況になりそうであり、今後の市況動向が注目される。ガソリンの販売数量も7月下旬には台風、大豪雨の影響で減販となっており、8月に入っても関東地区は天候不順で気温も下がり販売は低調であるが、今後の天候回復と猛暑を期待している。これからヤマ場の旧盆商戦を迎えるため、販売業者も天候と周辺SSの価格を見ながら商戦に臨むことになる。
 原油価格の下落、為替の円高はコスト安となるため石油業界は有利となるが、ユーザーから値下げ要求が出ることと、販売業者がコスト安を先取りして値下げすることも予想される。また、円高は自動車などの輸出産業にとっては販売価格が実質安値となり不利となる。そのため円高不況となり景気回復を遅らせることが心配となる。東日本大震災の影響で生産活動も低迷しており、ようやく回復の兆しがみえてきたところであるが、円高不況の到来が予想される。当然、ガソリンなどが販売減となり、石油業界としては、価格競争が展開されるという最悪のシナリオも予測される。
 7月の前半は猛暑で販売も好調であり、今年も増販が期待されたが、下旬からは一転してマイナスとなってきた。台風も9号が発生しており、天候不順が続きそうであるが、その後は猛暑が続くとの予報もあり、旧盆商戦に期待がかかっている。
 原油安、円高のコスト安となれば、末端市況が下落することになるが、常に適正マージンを確保することが大切である。石油業界にとっては7~8月の夏場はガソリンの増販で増益を見込んでいる時期である。7月の前半販売も好調で、まずまずの利益を確保したこともあり、今後の8月商戦に増販の期待がかかる。最大のヤマ場は旧盆となるが、好天気となれば上旬の販売不振は挽回が可能である。今年度のガソリン販売は東日本大震災の影響で4月が前年比で12%の大幅減となったが、5月が0.5%減、6月が1.7%減と、マイナスでありながらも小幅の減少にとどまり、4~6月の累計では4.8%減となった。7~8月で挽回を狙っていただけに8月の販売増に期待がかかっている。
 7月は、仕切価格の値上がりをユーザーに転嫁して150円相場を形成しており、今後は市況維持に取り組む構えであるが、ここにきて原油価格が値下がり、円高となってきたため、厳しい状況となってきた。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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