日刊ニュース

2011.08.17 のニュース

電力用C重油、原油の受入は増加 ―輸入で対応、国内の需給は安定推移―

 電事連によると7月の10電力用のC重油の受入は90万KLで前年同月比で31%増、原油(生だき用)は72万KLで87%増と大幅な増加となった。原発の事故と定期点検で原発の発受電力量が50%減少したため、火力発電が15%増にシフトしたことから、C重油と原油が増加したものである。
 原発の減少分は、まずLNG、石炭火力でカバーし、その後に石油火力の増加となる。そのため、石油各社が予想していたよりもオーダーが出るのが遅れており、供給不足が表面化する状況にはない。電力会社との重油取引きには各社間にバラツキもあり、温度差もある。
 8月も電力は需要期であり重油、原油の受入は増加することになるが、輸入で手当てしており、国産C重油の増産でカバーすることは少ないようである。6月のC重油の国内生産は4%増となっている。
 8月に入り天候不順で気温も下がり、電力需要も減少した。ここにきて猛暑日が続くが、旧盆で工場も休業するなど節電効果も浸透しており、当面の電力不足も乗り越えそうである。ただ東北電力は、豪雨の影響で水力発電の稼働が低下したため東電に融通を求めるなど電力不足が心配される状況にある。関電では石油火力の事故も発生するなど、厳しい状況が続いている。
 このように電力用C重油、原油の受入、消費が急増し、8~9月がヤマ場となるが、増加分は原油、C重油の輸入で対応している。原発事故の発生当初は国内のC重油の生産が増加してガソリン、中間留分が供給増になることが心配されていたが、電力側もC重油、原油の供給策は輪入で対応しているため、国内の石油製品が供給増とならず需給バランスは保たれている。
 ただ、今後の対応となると原発の定期点検後の再稼働が難しくなり、この状況が続くと来年5月にはすべての原発が停止するため、石油火力が大幅に増加する。また、年末の電
力の需要増加の対応も、今から心配されている。
 最近の石油辿盟週報(6日時)を見るとガソリンの在庫が223万KLで前年比で30万KL増、灯油は272万KLで77万KL増、軽油も206万KLで33万KLの増と
なっている。だが、供給増ということではなくバランスを崩すことなく安定して推移している。
 各社の当面の原油処理は、前年の横ばいか小幅減産で対応しており、需給の調整をはかるためジェット燃料、灯油の輸出増でカバーしている。
 7月入りで猛暑となり、ガソリン販売は増販が見込まれたが、7月後半で台風、新潟・福島の記録的な豪雨、8月初旬は気温が下がったため低迷した。そのため在庫も増加しているが、需給がバランスを崩すほどではない。
 灯油は前年に比べると大幅な在庫増となっているが、災害を受けた東北地方の安定供給を確保するため、早めの在庫積み増しとなったようである。今冬は石油ストーブの使用が増加するため増販が見込まれたことと、灯油タンクが被害をうけており安定供給に万全を期すため、在庫を積み増している。このようにガソリン、灯油、軽油の在庫は増加しているが、供給増が問題とはなっていない。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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