2011.08.18 のニュース
大震災流通実態調査に期待する
資源エネルギー庁が近く「東日本大震災石油製品流通実態調査」に着手するという。今後の大規模災害の発生を想定し、石油製品の安定供給体制の強化・拡充に向けた政策の参考とするためだ。
具体的には震災後、被災地全域を対象に製油所や油槽所、SS、タンクローリーの活動状況や、こうした施設を通した石油製品の流通状況、さらには石油製品供給の最前線であるSSの実際の稼働状況についてアンケートやヒアリングを含めて全体像を調査する。
東日本大震災では電気やガスなどのライフラインが寸断される中、SSをはじめ製油所や油槽所、さらにはタンクローリーなども甚大な被害を受けた。しかし、災害対応型SSをはじめ地域に分散立地するSSが早期に立ち直り、十分とはいえなくても必要な緊急車両や病院などに燃料を届けた。
とはいっても、震災直後、全石連は被災地の組合員の安否確認やSSの被災状況をはじめ各石油組合の事務局や役員と全石連事務局との通信が困難をきわめ、被災地の状況把握
に苦労した。
また、通信が回復したころにはエネ庁をはじめ各組合や地元役員、全石連に対し、自治体や警察、消防、病院などから次々に燃料供給要請が殺到したため、その対応に追われ、詳細な被害状況や実際の救急対応などについて不明な部分も多かった。
前述のように、災害時に立ち直りが早いエネルギーインフラとして再認識された石油だが、実際にこの大震災で石油サプライチェーンがどのような被害を受けたのか、その段階
での供給について具体的にどのような混乱が生じたのか、そして復旧はどのように始まったのか、その実態が詳しく調査されることに大いに期待したい。
また、この調査では、一般消費者や消防、警察、通信などの災害時対応のための需要家など、使う側の意識調査や、市町村などの行政組織の対応などについても調査を行う。
こうした流通実態調査によって、ほかのエネルギーに比べ石油製品が緊急時にどのような意味で必要とされたのか、さらには、今後大規模災害が発生した際の石油製品の安定供給体制のあり方をはじめその強化・拡充策を引き出すための重要なデータになるに違いない。被災地を含め影響を受けた東日本全体の業界を上げて、この実態調査に協力したい。