日刊ニュース

2011.08.23 のニュース

目線を灯油に定めよう~価格~

 現行の週仕切り体系が始まった2008年度はリットル15.6円。翌09年度は9.5円。昨年10年度は08年度比で半分以下の7.4円に沈んだ。これは灯油ハイ・シーズンの12~2日の全国平均の小売価格から卸価格を差し引いた消費税別の小売粗利の推移だ。
 08年度の数字は、原油価格が年末に向けて大きく値崩れする展開となった。灯油の卸価格も週7円を超える下落を記録するなど、下がり続ける卸に対して、週遅れで値下がりする小売が出現した。結果として小売粗利が膨らんだもので、やや例外と言えるケースかもしれないが、10年度の低粗利は、我々の側に準備不足があったのではないか。
 過去に前例がないほど売り手優位、つまり小売にも有利な需給環境が10年度の灯油商戦にはあった。シーズン前から終盤まで低在庫が続き、ホームセンターを含む異業種PB店の廉売が起こりにくい環境下にあった。にもかかわらず昨年の灯油商戦では、その追い風をつかめなかった結果が残る。
 ここにもう一つの指標を加えると、我々の側の準備不足の本質が目えてくる。それは暖房期が始まってからの原油価格の動向だ。
 すでに触れたとおり、08年度は原油相場は年末に向かって急降下した。09年度はほぼ横ばいという概況だ。10年度は値上がり一辺倒をたどった。仮にシーズン初めの小売価格を放置すれば、灯油商戦は08年度は大儲け、09年度は横ばい、10年度は大損という構図になるが、それに近い結果が残っている。我々はガソリンに対しては、度が超えるほどに敏感な価格センサーを備えているが、こと灯油に関しては、ややその感度が鈍くなる傾向があるようだ。
 旧盆休暇が終わり、猛暑の夏、節電の夏も峠を越えた。3月の昨シーズン終了とともに、値決め・価格改定を怠っていたり、疎かにしていたりした灯油をリセットする必要がある。現在の原油、仕切り、先物相場、そして需給をペースに、経営に必要な適正粗利を乗じた価格を再構築すべきタイミングが、いまである。
 現状は、昨シーズンの終盤に原油高が生じていた一方で、最近の原油は軟化傾向を示していることなどが奏功して、全国平均で見る灯油粗利は08年度シーズン同期に次いで、なかなか良好なレベルにある。このレベルを灯油への関心が高まる9月までに本物としたい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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