日刊ニュース

2011.08.25 のニュース

目線を灯油に定めよう~数字~

 灯油販売を取り巻く諸環境の変調を示す数字が続々と出ている。
 石油燃焼機器の販売が好調だ。本紙8月10日付「灯油復権プロジェクト②」でも5月分までを既報したが、6月統計でも石油ストーブは前年同月の実に15.5倍も出荷された。1~6月の累計では前年比2.1倍の91万台で、石油給湯器も21%増えている。08年を底にこの2年は微増傾向を記録していたが、今年は、家庭向け給湯・暖房機器の脱石油・灯油の流れが、確実に様変わりするだろう。
 年末年始における日本海側の豪雪によるライフラインの麻痺などがプラスに作用していたが、災害対応力の強さが前面に出た3.11の灯油の再評価により、本来なら不需要期の出荷・販売を大きく押し上げている。中でも停電不安を断ち切る「しん式ストーブ」の出荷が、けた外れに大きく伸びている。これは家庭で灯油を暖房エネルギーとして用いる世帯が、今冬は大きく増える、ということを意味する。
 需要ペースは天候次第という側面は残るが、平年並みの寒波が到来すれば、確実に灯油使用世帯、灯油需要は純増する。これを取り込む経営を指向するSSと、昨年通りに灯油
を放置するSSの間には、大きな格差が生じるだろう。このトレントを取り込む経営とは、特にサービスの面で人後に落ちないことを心がけることだ。灯油のみを求める顧客を疎かにしないこと、できれば、必ずや高いニーズかある配達機能を回復させることだろう。
 追い風となる数字がある一方で、逆風となる数字もある。
 歴史的な円高で高値が抑制されているといっても、現在の原油価格は円建てでも8月としては08年に次ぐ過去2番目の高値にある。さらに季節商品である灯油の特性として、夏場と比較して、シーズン・インから年末まで、精製元売の粗利が高くなる傾向が加わる。事実、東京先物市場では明日、納会を迎える9月限は59円台となっているが、12月限と来年1月限は3.2円高の63円前後にある。この間の原油はむしろ先安傾向にあるから、ガソリンに代わって今後は灯油の独歩高が、その先行指標からは予兆として読み取れる。ところが、この高値を予感させるものとは真逆の数字を過剰在庫となっている需給が示している。
 灯油を取り巻く数字を読み取り、明日のSS経営に活かそう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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