2011.08.31 のニュース
カード客確保で割引き販売 ―増販狙いで市況対策に水を差す―
ガソリンの8月商戦も終わり、9月入りとなるが、例年ガソリンの販売数量は落ち込む。そのため販売業者のガソリン9月対策は、販売数量よりもマージン確保を優先して取り組むべきある。だが、販売減となると増販を狙って、安値・割引き商法が登場することが懸念されている。
昨年の8月のガソリン販売数量は557万KLであったが、9月は498万KLとなっている。9月は30日間で8月の31日間に比べると1日少ない上に、夏場の需要期が終わり、不需要期となるため大幅な減販となる。それでも連休が2回あるため、好天気となれば増販が期待される。
ユーザーも夏休みで車を利用したため、その反動で9月は節約することから販売は落ち込む。ガソリン販売は、オーナードライバーが対象となるため個人消費のウェイトが高く、車の利用が減少するとガソリンは減販となる。
元売サイドは、販売減をカバーするため、この時期に新規カード会員の募集、オイルなどの油外商品の増販キャンペーンなどを実施することでSSの増益を支援する。新規のカード会員を確保することで顧客の固定化を図り、ガソリンの増販を狙うことになる。そのため新規のカード会員の加入者に対してガソリン・軽油の2円/L割引きなどを実施して
いる。数量も100Lまでの3ヵ月間と限定しており、金額的にみれば少額である。粗品を贈呈するがカード会社や、元売の負担はたいしたことはない。新規会員の入会後は通常
の販売価格に戻るが、キャンペーンとして大々的に官伝するため、ガソリンの訓引き販売がユーザーに伝わり、その結果、市況下落につながると販売業者から反発が出ている。
新規カード客を囲い込み、固定化することはガソリン増販を図る有効な方策ではあるが、割引き販売となるため市況対策からみるとマイナスとなる。現在、市況維持に努めてい
る時期にあり、割引き販売がSS店頭で大々的にキャンペーンとして実施されることは、市況対策に水を差すことになる。新規会員のみを対象にして値下げすることは既存のカード客からも不公平であるとの反発が出るので、結局はSSでの販売価格を値下げすることになりかねない。
仕切価格の値上げでユーザーに2円を転嫁するには、大変な苦労をするが、新規のカード会員を確保するためキャンペーンで簡単に2円を値下げすることは、矛盾するとの指摘もある。
同様に、プリペイドカードによる3~5円割引き販売も定着しており、プリカ割引きとして現金価格との多重価格表示がされている。固定客を優遇した差別化となるが、プリカ商法も安値販売に通じるとして以前から問題となっている。このプリカ割引きも、SSにとっては、ユーザーの固定化に通じるメリットがあることから定着している。
SSサイドも増販を狙って、カード割引き、会員割引き、プリカ、日
曜訓引きなどの各種の割引き販売を実施している。果たしてどの価格が実際の販売価格であるのか不透明であり、ユーザーからは批判が出ている。都心のSS店頭では価格表示がない場合もあり、それも問題ではあるが、郊外の街道SSのようにいろいろな価格が表示さるのは販売業者の姿勢が問われることになる。