日刊ニュース

2011.09.01 のニュース

製品在庫は前年比で増加も ―需給は安定して推移、供給増は回避―

 石油連盟の週報(20日)によるとガソリン、灯油、軽油などの在庫は前年に比べて増加しているが、需給は安定して推移している。
 ガソリン在庫は224万KLで前週の横ばいとなったが、前年比では22万KLの増加となっている。7~8月の販売数量は、前年と比べると減少も見込まれるが、猛暑となり、
まずまずの数量を確保したことになり、供給増とはなっていない。6~7月は製油所の停止、事故などでガソリンが供給不足となり、海上の業転市況が急騰した。ここにきて業転
市況は値下がりしているが「海上高の陸上安」の体系が続いている。
 灯油は302万KLで前週に比べて14万KLの増、前年に比べると92万KLの増となっている。前年は在庫はピーク時の10月末が290万KLで300万KLを割っていたが、今年は8月末で300万KLをオーバーしている。
 前年は在庫が少ないと心配されたが、販売も減少するとの見通しどおりで推移したため、無難に乗り切った。今年は3月11日の東日本大震災後、石油製品の需要は減少するとの
見通しとなったが、エネ庁は見通しの策定が難しいとして、今日まで平成23年度の石油製品の需要見通しを策定していない状況にある。
 そのため各社の自主的な判断で需給に取り組んでいるが、東北地区の安定供給を優先、販売増を見込んで、灯油在庫の積み増しは早めの対応となっている。
 軽油の在庫は227万KLで前週に比べて10万KLの増加、前年に比べて47万KLの増加となっている。これは輸出のウェイトが高くなっており、その週での輸出数量で在
庫が大きく変動するためである。輸出が増加すれば週末の在庫は減少し、抽出が減少すれば在庫が増加する。国内販売は復興特需で増販となっており、軽油在庫の増減は、通常ベースとなっており製品需給には影響しない。
 ジェット燃料も輸出のウェイトが高いため在庫が変動するが、景気など航空機の稼働によって影響を受けるのは販売数量であって、在庫の増減とは関係がない。
 C重油の在庫は223万KLで前週に比べ4万KLの増加となっている前年に比べ27万KLの増加となっている。C重油販売は、工業用は低迷しているが、電力用は増販
となっており6月は145万KLで前年比14%増となっている。増販は原発からの石油火力へのシフトによる。国内生産は165万KLで4%増となっている。
 福島原発の事故を契機に、定期点検後の再稼働も難しくなり、原発の稼働率が減少している。6月の10電力の原発の発電量は前年比で42%減、そのため火力は17%増となり、重油の受入れは55万KLで64%増となっている。原油は61万KLで140%の大幅増となっている。7月は重油の受入が90万KLで31%増、原油は774KLで87%増となっている。
 電力向けは、まず原油の生だきが増加している。LS原油の輸出で対応しており、さらにLSC重油の輸入で対応している。そのため国内のC重油の増産とはならず、ガソリン、中間留分が供給増となっていない。ガソリン、灯油の在庫は前年に比べると多いが、今のところ需給バランスは安定している。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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