日刊ニュース

2011.09.02 のニュース

上期決算8月値下げで厳しい状況に ―9月の原油価格の動向がカギ―

 いよいよ9月入りとなり、23年度上期の決算月となる。元売の石油事業部門の4~6月は、実質利益は減益か赤字となっており、7~9月で挽回を狙っているが9月の原油価
格、市況動向がポイントとなっている。原油価格は、ドバイでみると3月が109ドル、4月が117ドル、5月が108ドル、6月が108ドルで推移、4~6月の平均で111ドルとなった。7月が110ドルに値上がり、8月は上旬に100ドルへと急落したが、その後は値上がり、月末は107ドルに戻している。8月平均は105ドル程度となっている。8月の原油価格、仕切価格は約5円/Lの値下がりとなった。
 しかし、8月末で原油価格は急騰し、WTIは88ドル(9日は79ドル)へ、中東産は107ドルへと値上がりしている。8月上旬で急落したため、在庫評価損の発生を心配したが、再度値上げに転じており、見通し難となってきた。
 4~6月は減販となったがマージンは確保した。7~9月は、8月で製品市況が下落しており、マージンが減少しそうであるため、業績は悪化しそうである。原油価格が9月で
値上がりに転じそうな状況となっており、値上がりすれば在庫評価損は回避される。決算上は原油価格が下落することなく、横ばいか小幅な値上がりを期待している。
 元売の4~6月の連結決算の数字は、原油価格が値上がり、在庫評価益が発生したため増収、増益となった。また、原油高で石油開発事業も増益となり、利益を押し上げた。しかし、セグメント別の本業の石油事業でみると、在庫評価益を除く実質、利益は、減益か赤字となっている。
 4~6月で実質減益、赤字となったのは、①東日本大震災の影響で販売減となった②製油所、油糟所の操業が停止した③その結果、輸送コストが増加した④割高な市中買いで手当てした、などコスト高を含む各要因のため、利益減となった。この減益を7~9月で挽回を狙っているが、8月上旬の原油価格の急落と。市況下落で業績悪化が心配されている。ここにきて原油価格が反発してきたが市況は下落しており、いつ下げ止めになるかがポイントとなる。9月の原油価格が、値上がりするか、値下がりするかで上期決算には大きく影響する。
 上期は不需要期であり、灯油、A重油などの中間留分が減販となるため、増益を見込むことは難しい時期である。だが、ガソリン、軽油、電力用C重油は増販が見込まれる。ガソリンは7~8月は夏場の需要期であるため通常の月に比べると増販となった。猛暑であったため予想の数量は確保。軽油も災害特需、貨物輸送が復活したため増販となった。
 電力用C重油の販売は、各社間にバラツキがあるが、原発事故、再点検後の再開の遅れもあって、今後も増販が続く。電力用C重油の増販で、国内生産が増加、その結果、ガソリン、中間留分か供給増になると心配されたが、需給バランスは保たれている。灯油など在庫は増加しているが、震災後の安定供給を優先して早めに在庫を積み増しているため
である。
 ただ、9月販売はガソリンが落ち込むのと、灯油、A重油は不需要期であるため増販は見込まれない。灯油は在庫の積み増しで荷動きが出るが、実需となると11月以降となる

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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