2011.09.05 のニュース
遅くはない、王道へ回帰しよう
石連週報などによると、ガソリン需要は8月も微減が見込まれ、今年に入っての「量」的な戦績は2勝6敗。2勝は2月までの記録で、3月以降は6連敗となる。6連敗の内訳は、3月が前年比4.5%減、4月11.8%減といずれも3・11影響で大不振に陥った。5月と6月は各1.7%減と持ち直したかに見えたが、7月は4.3%、8月推計も4%減と夏商戦の苦戦が透けて見える。
これは悲観材料ではない。昨夏の反動が主要因であり、省エネ車両の増大が続き、高速1千円がなくなり、国内の個人消費が伸び悩む中で、相変わらずガソリンは生活必需品としての強さを維持している。需要が右上がりに増えるにこしたことはないが、3.11被災地や原発事故周辺のSSの現状に思いを馳せると、この減少率はなにほどのことはない。
むしろ我々が問題意識を強く持つべきは、元売との関係である。仕切りと販売政策の方向である。
この1年に起こったことは、強力な商品力を有するガソリンに相応しくない付加価値しか、系列SSは残せなくなりつつある、という冷徹な事実だ。この4-6月は失速したが、
精製元売は自作自演でガソリン卸の付加価値を高め、8兆円の市場規模に相応しい収益源にした。一方のSS小売業は、一部の量販SSが薄皮一枚のような収益を得られる水準が
標準化され、激戦地では平均的な規模のSSが生存できない有り様だ。地下タンクに絡む潜在リスクに備えたり、再投資を蓄えたりする余力はあり得ない。経費を極限まで削った
多くのSSの有り様は、調査会社が、SSビジネス全体のサービスの地盤沈下を憂うレベルに陥っている。
こうした実態にもかかわらず、系列SSはこの1年間、元売に対する付加価値を、それまでよりも多く支払い続けている。いずれ顕在化するであろう自社ブランドを掲げたSS
の地下に潜むリスクに備えることができるようになる。そのブランドを掲げていると、SSスタッフのマンパワーがより磨かれ、お客様が多く集うようになる。こうした姿こそ、系列SSが期待する元売に対する付加価値の反対給付である。
遅きに失してはいない。元売トップは大音量で、系列SSに対して、ガソリンで儲けよう、製品粗利を1円ずつ積み増していこう、と鼓舞しよう。小売業の王道へ回帰するエネルギーを系列SSは欲している。