日刊ニュース

2011.09.06 のニュース

ガソリン販売 前年比マイナスが続く -7月は前年の増販による反動で-

 石油統計速報によると7月のガソリン販売は507万KLで前年同月比で4.3%減(23万KL減)となった。昨年は猛暑で530万KL(前年比7.6%増)と高水準であっ
たため、その反動によるものである。今年も猛暑ではあったが、7月下旬に台風到来など天候不順となり減販となった。
 東日本大震災の影響で7月の乗用車の新車登録台数は21.5万台で30%減、ガソリン車の保有台数は減少傾向にあり、省燃費車の普及もあつてガソリン販売は減少が続く。増販が期待できるとすると、猛暑で車のクーラーの使用が増加するか、好天気でレジャーなど車の利用が増加するというように天候次第となってくる。または景気が回復して個人消費が伸びるかガソリン市況が下落することを期待するしか方策はない。
 7月はガソリンが値上がり、150円相場となったことも、ユーザーに高値感を与え節約、減販につながったようだ。それでも500万KLをオーバーしたことは、まずまずで
あるとの見方もある。
 8月は増販が期待されたが、新潟・福島などの豪雨で天候不順となり、後半は減販となった。月末に猛暑となったが、販売は伸びなかった。原油価格が8月に入り下落したため、
ガソリンは値下がりしたが、値下がりによる増販効果はないようである。
 今年のガソリンの夏場商戦は7月入りで気温が上昇、梅雨明けも早く、猛暑が続きスタートは順調であった。その後、台風、豪雨と天候不順で増販の勢いが止まった。それでも猛暑日が続いたため、増販が期待されたが、前年が高水準であったため、前年比ではマイナスとなった。昨年度のガソリン販売が1.3%増となったのは7~8月での猛暑の影響による増販である。今年度がマイナスで推移しているのは、震災の影響もあって、直後の4月販売が12%の大幅減となり、その後の5月は0.5%減、6月も1.7%減、7月も4.3%減となり、需要が回復するまでに至っていないからである。今後も販売減が続くとみられる。ちなみに4~7月の累計販売では4.7%減となっている。
 ガソリン販売は長期的にみても増加は難しくマイナスが続くとみられている。すでに指摘されているが、①HVなどの省燃費車が増加する、②人口が減少し、若者の車離れが進
む、③車の保有台数が減少する、などの点からみてガソリンの需要が増加する要因は見当たらない。
 ガソリン車の燃費改善については、経産省が2020年度までには09年度比で24%を改善して20.3KM/Lとする新基準を発表している。一方、自動車メーカーは、マツダ、ダイハツが30KM/Lの省燃費車を発売するとしており、ガソリンの消費減少が一段と進むことになる。
 EV(電気自動車)の普及は、20~30年後となるが、それ以前にガソリン車の燃費改善が進むことになり、ガソリン需要の減少は確実視されている。これだけ燃費改善が進
めば、EVよりもガソリン車の方が優位となり、ガソリン時代が続くであろうが、需要は大幅に減少する。
 EVは環境対応で普及するが、SSでの商売の対象とはならない。省燃費であってもガソリン車が今後も残ることになるため、SSの数は減少するが、合理化すれば経営が可能となる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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