日刊ニュース

2011.09.14 のニュース

市況下落でSSの85%が赤字 ―マージン減少で深刻な状況に―

 8月に入って原油価格が下落、ガソリンの仕切価格も値下がりしたが、それ以上に末端市況は下落しており、販売業者の足元の経営は苦しくなっている。8月の平均原油価格
は中東産では約5ドル/バーレル下げであるが、ここにきて値上がり基調となっているため、仕切価格は今後、値上がりしそうである。
 ガソリン市況の下落でSS経営は、深刻な状況となっており、9日に開いた全石連経営部会でも「地域によっては85%が赤字であり、深刻な状況となっている」との報告があった。仕切価格の値下がり以上に末端市況が急落しておりマージンが減少してきた。
 一方、元売は仕切価格を値下げしているが、ガソリンのマージンは確保している。原油CIF価格と仕切価格との間に12~13円の差があり、適正マージンを確保した価格体系を維持している。販売業者からみると『我々は赤字であるが、元売は儲けている』との反発が出ている。元売からは「販売業者は仕切価格に適正マージンを加算して販売すべきである」との意見が出ているが、流通段階ではHCなどの安値販売が横行しており、価格競争が激しく、簡単にマージンを確保できる状況にないのが実態である。
 仕切価格は8月13日から連続して値下げとなっており、9月10日からも50銭~70銭/Lの値下がりとなり、末端市況は、さらに下落しそうである。仕切価格は8月13日から累計すると約6円の値下がりとなっている。JX日鉱日石エネルギーの例でみると8月13日から3円40銭、20日から70銭、27日から70銭、9月3日から70銭、10日から50銭の各値下げとなり、累計すると6円の値下がりとなる。同様に出光興産が6円、EMが6円50銭(外販は4円70銭)、昭和シェル石油は5円80銭の値下げとなっている。大勢は約6円の値下がりとなっているが、末端市況は、10円の値下がりとなっている。
 末端市況でみると街道沿いSSでは8月に150円であったものが、足元は140円から138~9円へと10円以上の下落となっている。HCなどは132円となっており、都心部は150円も残っているため、価格差は20円と拡大している。
 HCなどが132円(消費税込み)となれば、系列仕切価格と同値となり、これでは、一般の系列SSでは競争ができず、不利な状況にあるとの意見が出ている。系列仕切価格と業転市況との間に大幅価格差が生じてきたもので、安値の業転玉を仕入れて販売するHCなどのノンブランドSSが有利となり、対抗できないとの反発が再び出てきた。
 元売による新体系の導入で系列仕切価格と業転市況との価格差が縮小され、大手業者と小規模業者との価格差もなくなり、公平で透明な価格体系となったと歓迎されたが、昨年
4月からの新・新体系へ移行したのを機に、仕切価格にブランド料が4~5円加算された。その結果、仕切価格は業転市況に比べて5円程度の割高となってきた。
 これでは以前の「系列高の業転市況安」という価格休系に戻ったことになる。ブランド料を払っている系列SSの経営が苦しくなり、割安な業転玉を購入しているHC、量販店
が有利になるという矛盾した状況が続くことになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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