日刊ニュース

2011.09.15 のニュース

エネ政策は「脱石油」見直しから

 いよいよわが国のエネルギー政策の見直しの議論が始まる。経産省の総合資源エネルギー調査会がその舞台となる予定だ。わが石油販売業界としてはまず、今回の政策見直しの
きっかけとなった大震災と原発事故という現実を直視し、「エネルギーの安定供給」を前面に打ち出した現実的な政策の確立を求めたい。
 エネルギー政策のあり方というと、どうしても中長期に向けた議論になるのだろうか、もちろんそうした時代に向けたエネルギー構成のあり方などの目標は示すべきだろう。しかし、そういう時代に到達する前に、今回の大震災のような災害が再び起きる可能性は否めない。だれも「今後100年は起きない」と言えないというのが今回の最大の教訓である。そうしたことを考えれば、中長期のエネルギー政策と同時に、短期のエネルギー供給のあり方を集中議論すべきである。
 現在のエネルギー政策の第一の目標は、地球温暖化対策に対応するためのCO2削減対策であり、そのための政策の柱が原発の拡充であった。いわゆる「脱石油」である。
 しかし、原発政策は想定外の巨大な地震と津波によって大きく見直さざるを得なくなった。原発事故の状況からして、今後の原発の新規立地はほとんど不可能だ。全国の54基の原発の中で現在稼働しているのは11基。これらの原発も安全点検後の再稼働は困難になると予想される。
 太陽光や風力などの再生可能エネルギーも、代替機能として活躍するにはまだまだ時間がかかる。だからこそ、これからのエネルギー政策はあらゆる可能性を想定したうえで、いつ、どこで、なにが起きても対応できる体制整備をペースに考えるべきである。
 そうなれば当然、石油や天然ガスなどの化石燃料を否定してきた方向性は変わることになる。ただ、天然ガスはCO2排出量が比較的少ないとされ別格扱いされてきたが、今回の大震災では復旧に1ヵ月かかった。ライフラインが寸断される中、自動車用燃料として、暖房用燃料として、被災地の人たちか最も必要としたのが石油製品であり、石油業界は被災直後から自家発電や手回しで緊急要請に応えた。
 まず、こうした現実の姿を踏まえたうえで、エネルギー政策が議論されるべきで、その第一歩は、なにを置いても「脱石油」の削除である。

提供元:全国石油商業組合連合会
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