2011.09.15 のニュース
元売、販売業者 SSで灯油増販を期待
灯油の増販が期待されるチャンスが到来してきた。東日本大震災の影響でガス、電気への燃料転換が遅れることと、電力の節電が今冬も継続で実施されるため、灯油販売が見直
しとなることは必至である。
このように灯油の増販が見込まれるため、全石辿もSS店頭にPRポスターを掲示し、灯油の需要開拓に乗り出すことになった。灯油販売は、毎年減少が続いていたが、ようやく増販が期待されそうである。元売も在庫を早めに積み増ししており、8月末で300万KLをオーバーしている。昨年の冬場の在庫は終始300万KLを割っており、今冬は増販を見込んでいる。
東日本大震災の影響で東北地方への安定供給の優先を想定しているが、灯油ストーブの販売も急増しており、品切れ状況にある。東北地方でなく西日本地区でも同じく灯油ストーブが増販となっており、灯油需要は回復しそうである。
だが、灯油は天候次第で、暖冬になると一気に減販となるため予測は難しい。しかし厳冬になれば大幅な増販が見込まれるため、灯油商戦には大いに期待できる。過去において
は、冬場の灯油販売による利益はSSの経営を安定化させる役割を果たしていた。しかし、都市部では、オール電化か進み、マンションなどでは灯油ストーブの使用を禁止してい
るため灯油の販売が減少し、SS経営を悪化させる要因となっている。
現在は、都市部での灯油需要は激減しており、需要地は郊外や農村部、東北、北海道などの寒冷地に限られている。需要もピーク時の半分という状況にある。これだけ灯油離れが続いたのは、石油業界が、灯油の販売に無関心であったことも指摘されるが、灯油暖房機器の開発が遅れたことと、電気、ガスが利便性に優れていたことが要因となる。さらに、
原油価格が急騰したため、灯油が値上がり高値となったため、ユーザーから信頼を失うなど、多くのマイナス要因が重なった。
原油価格の高騰は、灯油のほかA、C重油の販売が激減するなど他の燃料油が減少する要因となった。灯油販売は、今冬での増販が期待されるが、これは震災の影響による一過性のものと考えられており、今後の需要見通しは減少する方向にある。東北地方も大災害で経済活動は停滞しており、復興段階であり、景気の回復となると、かなり先の話となる。復興特需による軽油の増販もあるが限定的であり、持続するものではない。
販売業者は灯油販売によってマージン確保を期待しているが、増販となれば、ガソリンと同様に価格競争が展開される。灯油のマージンはSS店頭で20円/L、配達では30
円を確保したいところである。だが、HCなどでは灯油が目玉商品となるケースもあり、安値販売も出回りそうである。一版SSではガソリンのマージンは最低12円は必要であるが、HCなどは5円でも経営が可能であり、灯油の安値販売が横行することが懸念されている。
過去においてもHCなど灯油の安値販売が問題となったが、結局、生協、農協などが灯油の扱いをやめることになった要因でもある。このようにSSでの灯油販売が減少してい
る中で、今冬での増販が期待されているが、適正マージンの確保がポイントとなる。