日刊ニュース

2011.09.21 のニュース

ガソリンの在庫増で市況下落―灯油は今冬の増販を見込む―

 ガソリン、灯油の在庫は、前年に比べると増加している。ガソリンは販売が低迷していることが影響、灯油は東日本大震災の影響もあり、東北地方への安定供給を優先して早めに在庫を積み増ししているもので、今冬の増販を見込んでいる。
 石油辿盟週報(10日)によるとガソリン在庫は227万KLで前週に比べて11万KL増、前年に比べると35万KLの増加となっている。4日~11日のガソリン生産は110万KLで前週に比べて4万KLの増産となっており、販売が伸び悩んだため在庫は増加した。8月の後半から台風の影響もあり、販売は前年を下回っている。昨年8月の販売が557万KLと高水準であったためマイナスが見込まれていた。だが、7月についで8月も減販となったことから販売業者にあせりが出てきたこともあり、末端市況は下落している。
 原油価格も下落したため、ガソリンの仕切価格も8月から連続して値下がりとなっている。末端市況も石油情報センター調査によると8月初めが151円であったものが、9月
12日では147円となり4円の下落となっている。一方、仕切価格は8月13日(土)から連続して値下がりとなり、累計では6円の値下がりとなっている。
 調査価格でみると末端市況の値下がりが4円であり、これに対して仕切価格の値下がり6円であるため2円か販売業者のマージン増という計算となる。だが、実勢の末端市況は10円程度も値下がりしており、販売業者はマージン減で苦慮しているのが実態である。末端市況の実態と調査価格との間にズレがあり、今後は市況下落が続きそうである。販売減
が続き、在庫増となると、市況下落が加速するため減産対応が望まれる。
 灯油在庫は318万KLで前週に比べ10万KL積み上げた。比べて79KLの増加となっている。昨年は販売減を見込んで、常時300万KLを下回る低在庫で対応した結果であり、一昨年の水準で対応しているため、それほど多い水準ではないとの見方もある。
 今冬は、震災の影響で東北地方への安定供給が心配されており、早めの在庫積み増しとなっている。シーズン入りを前にして灯油ストーブの販売は増加している。すでに、H
C、スーパーなどが手当てしているため、薪炭商、SSでの販売は難しくなっている。
 家庭用暖房で電気、ガスヘ燃料転換が進んだが、灯油が見直されてきた。被災地での灯油は増販が見込まれるが、その他の地域でも灯油に回帰することが予想される。しかし灯
油の実需の見通しとなると難しい。平成22年度の5ヵ年間の見通しでは、年率5.4%減と予測していた。23年度の見通しは、大震災で見通しが困難であるとして策定していないが、全体ではマイナスが予想される。今年の4~7月は前年同期で19%の大幅減となっている。不需要期であるため、下期の暖房用を、当面の減販とは比較できないが、全国平均でみると大幅な増販は難しい。
 灯油販売は、天候に影響されるため、厳冬になれば増販で需給がタイトになるが、逆に暖冬になると減販で供給増となる。まず、いつの時点で寒波が到来するかがカギとなる。
とくに大消費地の関東、関西地区の冷え込みがポイントとなる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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