日刊ニュース

2011.09.28 のニュース

最終消費者の供給確保を基本目標に ―石連提言、初めに石油のシェアを確保―

 石油連盟は、エネルギー政策の見直しに係わる石油業界の提言をまとめた。経済産業省は、東日本大震災の影響を受けて2030年に向けてエネルギー政策の見直しを、総合エ
ネルギー調査会で近く検討することになっており、事前に提言をまとめ石油業界として対応することになった。
 天坊・石油連盟会長は、長期エネルギー計画の策定について「まず、基幹エネルギーである石油のシェアを確保すべきである。不安定な再生可能エネルギー(太陽光発電など)
の目標を決め、不足分を石油でカバーする手法は現実的ではない。コスト、経済的負担などを総合的に検討すべきである」と述べている。
 すでに電源構成で再生可能エネルギーを30%とするとの案も出ているが、初めにシェアの目標値を提示して議論する方策は現実的ではなく、太陽光発電による電力買取り価格、
導入に際して補助金支給などコストを無視した方針の打ち出しには問題があると指摘している。
 現行の長期見通しでは、2030年の原発のシェアを50%(現在のシェアが約30%)にしているが、その達成は難しく「縮・原発政策」を推進することになっているため、どこまでシェアを減らすのかが焦点となる。いつまでに何%減らすのか、時間軸を示すことになる。また、失った原発のシェアを当面は石油、LNG、石炭の化石燃料でカバーするが、これも具体的な数量を示すことになる。
 しかし、石油は、「脱石油」政策によって、石油火力の新設を認めていないため増加は難しい。そのため原発の減少分をカバーするのはLNG、石炭となる。したがって現在もLNG、石炭の輸入が増加している。
 石油については、現在休止中の石油火力を立ち上げることで稼働率をアップするが、原発の減少分をカバーすることにはならない。そのため電力用c重油の受入が、今後、長期
にわたって大幅に増加することはない。当分の間は前年比で増加するが、現状が限界である。現在、石油全体の受入は増加しているが、電力企業が原油、LSC重油の輪入増で対応しているため、国内産のC重油は、それほど増加していない。また、今年の夏場は乗り切ったが、冬場の電力需要期の石油の供給体制が懸念されている。石油業界からは『常に一定数量を引き取るべきであり、困った時の石油頼みは供給が難しい』と要請している。
 一方、電力企業は、今までは原発を推進するため「脱石油」政策を実施しており、石油火力発電の新設、増設を見送っている。今後も、新設、増設の計画がないとなれば、石油の増販は期待できない。今のところコスト面で石油が割り高となっているため難しい状況にある。石油に回帰するか否かは、今後の議論となるが、電力企業が電力の安定供給を配慮して石油を消賀する石油火力を復活せるか否かに懸かっている。
 また、石油の安定供給の確保策について天坊会長は「これまでは原油調達、自給率の向上であったが、今後は緊急時を含めて最終消費者への供給確保を基本とすべきである。製
油所、SSから最終消費者までのサプライチェーンを維持・強化すべきである」と語っている。新たに、最終消費者までの安定供給を確保することを国の基本目標に加えるべきと強調している。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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