2011.10.03 のニュース
大口C重油の上期価格が決着 -LSC重油は経費等を見直しー
JX日鉱日石エネルギーは、上期(4~9月)の大口向けLSC重油、7~9月分のHSC重油の価格が決まったと発表した。HSC重油は4~6月は決着しており、今回7~9月が決まった。原油価格の値上がりに連動して4~6月分が大幅に値上がり、7~9月分は円高、原油価格の値下がりを受けて値下がりとなった。
このC重油の値決め方式は、3ヵ月単位でコスト(原油価格、為替、経費など)を加算する原価計算に基づいており、コストは回収されている。
コストは1力月前の3ヵ月分となり、3~6月のコストを4~7月分価格として算出して交渉するもので、事前に打ち出す価格と塗言の間では大きな差は生じない。打ち出した時期と、その後にコストが変動するため調整される程度である。
いずれにしてもコストが保証されているため、元売は赤字とはならないが、安定供給の責務を負うことになる。一方、ガソリン、中間留分のようなマス商品は直近の業転市況など毎日の市況を反映させた市場連動の週決め制となる。業転市況が急落するとコスト割れの赤字となるケースもあるが、最近では仕切価格にブランド料を加算することでコストを同収しており、このため業転市況との間に5円/L程度の価格差が生じており、販売業者から反発がでている。
コスト方式と市況連助方式では、それぞれ一長一短があるが、3ヵ月単位のコスト変動が導入できるのは、ユーザーとの信頼関係があることと、安定供給を重視することで合意が形成されている結果である。
大口のLSC重油は電力用で硫黄分が0.3%、サイト30日となっている。上期末の決算月であり、4~6月、7~9月分の6ヵ月間が一括して決まった。この間、打ち出し価格に対して仮価格で決済している4~6月は7万1340円/KLで1~3月に比べると9210円の大幅な値上がりとなった。打ち出し価格は4万4540円となっており、
約3000円の差があるが、原油価格で打ち出し時と決着価格との間に4ドル程度の差がでているためである。
7~9月分は原油価格は小幅下げとなったが、為替が円高で推移したため、6万8890円で2450円の値下がりとなった。
4~6月は、新年度入りでフォーミュラの手直しがあり、生産品価格の経費等で6419円となり255円の下げとなった。経費が見直しとなり、その結果、トータルでは100円の経費減となっている。
大幅な値上がりの要因は原油価格が急騰したためで生産品価格の原油CIFは121ドル/バーレル(南方物)で前期に比べて21ドルの大幅な値上がりとなった。これに連動して直脱品CIF国際価格が値上がりとなり、結果的には前期比で約9000円の値上が
り(打ち出しは1万2000円上げ)となった。LSC重油が7万円を超えたのは、平成20年に原油価格が急騰して7月にWTIが145ドルを記録した時に次ぐもので1~3月が7万200円、4~6月が8万2000円、7~9月で9万7000円となった。その後は急落して5万円台が続いたが、今年4月に入って原油価格が急騰して110ドル台に乗せてきたことによるもの。足元は下落気味であるが、WTIは80ドル台であるが、中東物は100ドル台、南方物は110ドルを維持しており、高値で推移している。