2011.10.04 のニュース
安定供給の肝はSS網の維持
今年度もはや半年が経過。ここ2ヵ月、ガソリン卸価格指標の下落が続く中で、販売不振の指摘も多数聞こえてくる。年度当初のレギュラー標準仕切り推計は消費税込み136
円で、全国平均小売価格は152円。これに対して9月末の仕切りは131円程度で、小売価格は145円。ガソリンマージンを2円弱失った格好だ。このダブルパンチに加え、元売だけはいわゆるブランド料を上乗せして利益を確保していることへの不満も折り重なり、批判の声が大きくなっている。
大震災後、一部で復興需要が高じてきた東日本の高速SSではガソリン販売量が6月13%増、7月4%増と回復に転じていたが、8月は昨年の猛暑反動が考えられるものの5%減にダウンした。他方、軽油は6月72%増、7月82%増、8月64%増と好調が続いているか、ディーゼル車への環境規制強化以降、軽油を重要商品と位置付けるSSは相対的に減ったから、その恩恵は偏在しており、SS業者の大勢が厳しい経営を余儀なくされていると推察される。
加えて、今後の業界展望に悩んでいる組合員も少なくない。老朽地下タンクの対策措置義務化に伴う今年度の補助金抽選に漏れ、経営存続の気持ちが途切れたという声。補助金とは関係なく、地下タンクに投資しても回収が見込めないので存続をあきらめたというため息。また、「約半世紀にわたって受け継いできた商売、唐突にタンクの経過年数で線引きされ、義務を課せられた。自分の代では愛着あるSSをやめる気はなかったのに)と悔しさを滲ませながら、最後のロープを張る経営者とスタッフ。今年も4月以降、特に区切りのいい月末になると、こんな光景が多く見られた。
ところが一方で、下落する卸価格を上回るスピードで廉売合戦を繰り広げている量販店の姿がある。その中には、残念なことに元売子会社の姿も大概見られる。抗弁は聞きたくない。子会社のような人材力・運営力・店舗力をもってすれば、価格以外の魅力で消費者を惹きつけられると範を示してほしい。いまこそ元売各社は、小売市場でも収益最優先を
打ち出し、精販双方が適正利益を確保することに注力すべきだ。分散型エネルギーである石油の安定供給は、全国各地に販売業者かいなければ完結しえない。エネルギー政策の見直しに当たり、欠かせない肝が、ここにあると信じさせてほしい。