2011.10.11 のニュース
脱石油偏重に警鐘を鳴らそう
「エネルギー政策を白紙から抜本的に見直す」ための議論が始まった。現在のエネルギー基本計画を再確認しておくと、2030年までにエネルギー自給率を18%から約4割へと大幅に向上させ、エネルギーを30%削減するなどの考え方に立っている。
目指す具体像は、09年度対比の一次エネルギー供給比率で石油を42%から31%、液化天然ガスを19%から16%、石炭を21%から17%へと引き下げる一方、原子力を12%から24%、再生可能エネルギー等を6%から13%へと大幅に引き上げるという計画である。ところが原子力は「依存度低減」が不可避となった。再生エネ等も現状は半分が水力。家庭用等を含まない太陽光発電や風力発電などの自然エネは0.3%、地熱エネは0.1%に過ぎず、残りは廃棄物発電などの未活用エネだ。
一方、現行計画では石油の位置付けとして国内サプライチェーンの維持が謳われ、石油製品販売業が最前線の役割を担うことを可能とするために「公正・透明な競争環境の整備を目指す」、「将来的には石油に加え、水素・電気も供給するマルチステーションを整備する」などとされている。
新計画は来夏を目途に従来通り総合資源エネルギー調査会がまとめるが、原発の方向性で初っ端から両論が噴出した。他方、政府のエネルギー・環境会議は発電コストの検証を
軸とした新たなエネルギーペストミックスの基本的考え方を年末に提示、来春ごろに選択肢を示して国民的議論を開始し、来夏ごろに革新的エネルギー・環境戦略を決める。調整
作業を困難視する見方も多いが、エネ環会議がコスト検証結果を総合エネ調と原子力委員会にフィードバックし、それらの議論の結果をエネ環会議が点検・再検討することで、関係省庁の連携が図られるとしている。
経産省は今年度第3次補正予算や来年度予算概算要求で災害に強い石油製品供給網の整備、維持・強化を盛った。現行計画では、緊急時対応能力として「備蓄が最後の砦」と指
摘しているが、未曾有の大震災を経験して改善課題も見つかった。政策の見直しに当たり、全石連と石油連盟はそれぞれの立場から石油・SSの重要性を訴えているが、これまでの教訓や地域社会における存在意義について、より消費者に近い現場からも石油が必要、SSが必要という声を波状的に発信してきたい。