2011.10.19 のニュース
全石連 行き過ぎた規制緩和の是正を要望 ―韓国の石油流通事情を基にー
全石連は、9月末に韓国石油事情視察調査団を派遣、韓国石油業界の動向、流通実態を調査、その結果をまとめた。調査には、関・全石連会長、早山、河本副会長、持田石油協
会長、松村副会長、戸高・エネ庁石油流通課長ら12名が参加した。
韓国も規制緩和を実施しており、SSの距離規制が廃止されているが、SS数は、小幅であるが増加している。政府も元売4社体制を崩して、自由化しようとしている。価格には政府が介入しているが、その狙いはガソリン価格が高過ぎるとしで値下げを狙っているもので、消費者物価の値下げ政策となっている。
日本の場合は、価格競争が激しく値下がりして販売のマージンが減少しており、状況が大きく違っている。完全自由化によって、SS数は激減するなど、これまでの行過ぎた規制緩和策を是正すべきであるとの見方が確認されたとしている。この報告を基に規制緩和の是正を政府などに要請する。
韓国の精製能力は262万バーレル/日(最大は120万バーレル/日)あるが、製品輸出が、全体で35%を占めるなど輸出ありきのビジネスモデルとなっており、日本の消費地精製方式とは違う。自動車、電子部品と合わせて石油が輸出商品となっており、シン
ガポール、インドネシア、ベトナムなどが主な輸出先となっている。日本にもガソリン、軽油を輸出しているが少量である。株主構成はSKにはアメリカ系のハアンド系が7%、GSカルテックスにはシェブロンが50%、S-OILにはサウジアラムコが35%と外資が参加している。
SS数が1万3003ヵ所あり、ほとんどが元売系列であり、系列以外は579ヵ所ある。その内、半分はNH(日本のJA)系が約300ヵ所あり、今後も増加が見込まれている。元売系はSKが4593ヵ所、GSカルテックスが3488ヵ所、現代が2499ヵ所となっている。
ガソリンの販売価格は、日本円で約136円/L(1842ウォン)で石油諸税は64円で日本と同様に多額である。SSのガソリン販売数量は、国内の月間平均は200KL程度、ソウルの都市部では330KL程度となっている。ただ、規制緩和等もあり、政府は石油の値段を下げる政策を打ち出しているので、これからどうなるかというところであるが、日本からみると状況は随分違う。NHが300ヵ所のSSを保有しているが、他社のポールを使っている200~300ヵ所について、これを自社のサインポールに変更する動きがあり、第二のサインポールが増えていく状況もある。
価格については、韓国では販売価格を下げるよう政府が介入しているが、日本では競争が激しく政府が価格競争を抑制する立場にある。商社筋によると「日本と韓国のSSで得
られるマージンを比べると決して韓国の方が高くない。ガソリンと軽油の販売価格は他国に比べても高くない」との回答があった。販売店の価格決定は「各地域で毎日モニタリン
グしており、SSのオーナーが決めている」とのこと。韓国の販売業界からは、の損益岐点のSSが67%ある、②SSのマージンは減少している。③政府主導でSSの販売価格
が公表され、NH系SSなどとの価格差が表面化、価格競争を誘発している、との意見も