2011.10.20 のニュース
すぐに大幅値上げが始まる
原油の中東産指標は、円建てでの最近の底値は今月4日に記録した。その底値から、今週月曜の高値までの上げ幅はリットル6.6円にも達する。週ベースで見ても、今週見通しと2週前の比較では、実に5円前後の値上がりという結果が透けて見えている。
石油製品の国内卸価格指標は、底値は先週半ばで、週末から値上がり局面に入っているただし、底値からの上げ幅は、最大の灯油でも1.5円。ガソリンの場合は1円にも達ていない。
想定できる変化に対して、そのことに備える知恵を我々は有している。現在の想定は、これから大幅な卸値上げという局面がやってくる、ということだ。
原油と製品卸価格の間で、精製元売は企業として存在する。現在の原油に対する精製元売粗利は、陸上現物ガソリン相場に対して20円を超えていた8月中旬比では半減し、原油が高値に跳ね上がった今週月曜は、ついに10円を割り込み、4月下旬以来の低位に落ち込んでいるものと推計できる。同日には灯油は9円を割り、軽油は8円を割った。SS関連3油種でのこの業況は、3.11前の2月以来の惨状だ。4円近い逆ザヤに対して、精製元売はこれを吸収する余力はない。
精製元売の収益性の悪化は、需給が緩くなっていることの反作用である。ただし、灯油の在庫増は、万が一にも不足を生じさせない、という決意で、ほぼ全神経を被災地に向けている元売の社会性の証であるから、これはやむを得ない側面がある。したがって我々は、ガソリン卸に対する矛先が強くなる、という事態を予見すべきだろう。
先週も卸値上げにもかかわらず、周辺の競合量販SSに倣い、ガソリン小売価格を上方修正できなかったのか、我々の大勢だ。逆ザヤという上昇圧力が貯まってしまった。原油
と卸相場の近況を見据えると、今週末の卸上げは、先週末のような小規模では済まされない。これらの状況証拠を検証するまでもなく、すぐに大幅引き上げへの準備が必要なのは自明の理である。
我々はこの9週間、じりじりと値を切り下げる競合量販SSの小売価格の呪縛に準じてきた。ここで一早く小売価格を反転する道へと経営を切り替えるべきだろう。小売市場以外の全シグナルが、大幅値上げを示唆している。