日刊ニュース

2011.10.20 のニュース

仕切価格は値上げに転じる ―まず下落傾向に歯止めをー

 ガソリンの仕切価格は、8月初めから連続値下げとなったが、15日から10銭~1円/Lの値上げと転じた。これを機に下げ止めになるのか、今後の市況動向が注目される。
エクソンモービルが1円値上げであるが、JX日鉱日石エネルギー、出光興産が10銭の小幅値上げであるため、末端市況は、下落傾向に歯止めをかけることがポイントとなる。
 末端市況は、足元では値下がりが続いているため難しい局面にある。石油情報センター調査(11日)は143円で前週に比べて1円の値下がり、8月初めの151円に比べると8円の値下がりとなっている。17日の調査結果が気になるところである。
 HC、量販店の安値は129円から1~2円値下げしており、その直後の仕切価格の値上げであるが、値上げ幅が10銭の小幅であるため、販売業者間で足並みが揃うかが問題である。販売業者も、まず下げ止めを図り、今週末の仕切価格の動向を見ることになる。
 仕切価格の改定の指標は、当初は先物、業転市況にリンクしていたが、先物市況は原油価格の変動に大きく反応して実勢から乖離、業転市況との間に価格差が生じた。業転市況も需給に反映するが、状況によっては、必ずも市況を反映しない場合もあるため、元売が赤字となるケースが多くなった。この流れを解消するためブランド料を加算するなど新・新体系に移行した。これを機に、原油価格の動向、他社の動き、など総合的な要因を加味して仕切価格を打ち出している。そのため市場運動制としているが、多くの指標を参考にしているため見通し難となっている。販売業者からもブランド料(4円/L程度)は不透明であり、コストの変動も分りにくいとの不満が出ている。
 それでも仕切価格の打ち出しはEMがプライスリーダーとなっており、結果的には、仕切価格の改定はEMの動きに追随しているようである。末端市況は、圧倒的なシェア
(35%)を持つJX系SSの対応がカギを握っている。50%のシェアを持つ地域も存在するためJX系SSの存在が大きい。
 しかし、一方では、HC、量販店の安値攻勢も末端市況の形成には、大きな影響を与えている。薄利多売方式の商法は、値下がり局面では先行して値下げすることになり、125~6円の安値が散見している。安値には大手系列会社、元売販売子会社が対抗するケースが出ており、周辺の小規模の系列SSは対抗できずに撤退に追い込まれている。
 販売子会社などは、表示価格は、周辺価格と同値であるがカード会員割引きで対抗しており、実質値下げて対抗している。カード割引きは2~3円安となっているためHCよりも安値となっているケースもある。
 このように価格競争がエスカレートしている状況下での値上げとなると、市況対策は難しい。ユーザー転嫁は、仕切価格を2~3円値上がりさせないと末端市況の値上げが難し
いとの見方もある。だが、仕切価格は週決めであるため、小幅な値上がりでも直ちにユーザーに転嫁しない限り、販売業者がかぶることになる。
 原油価格は中東産で109ドル/バーレル(10月初め100ドル)と値上がりしており、仕切価格は値上がりの公算が強くなってきため、ユーザー転嫁の準備に入る時期にきた。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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