2011.10.27 のニュース
「スマート」SSへの未来図
火力や原子力、水力などの大規模発電所と、送電線・変電所などの巨大なインフラによって賄われていたこれまでの電気エネルギー。これらへの極度な依存を抑え、これらをべ
ース電源にしながら、太陽光や風力などの再生可能エネルギー、ガスや石油などを用いたコジェネや燃料電池による小規模分散型エネルギー、さらに、EVやPHVなど発電・蓄電機能を備えた次世代車を含めたクルマなどが、それぞれ相互補完しながら、エネルギーを担う。これらがエネルギー社会を変える「スマートグリッド」を担うエネルギー源といえる。
日照時間や風量などの自然条件で発電量が大きく左右されることが新エネルギーの最大の難点という。これを情報通信技術=ICTを駆使して、電力需給を制御し、最適化する
電力網が「スマートグリッド」の概略だ。
lCTの中核を担うのが通信機能内蔵の電力計「スマートメーター」で、個々の需要情報を集約、需要を予想して安定的な供給計画を立てる。欧州ではイタリアとスペインで
「スマートメーター」の全世帯設置がほぼ完了し、各地でEVを局地に集中させるなどした「スマートシティー」の実証が開始されている。北海油田の先細りによるエネルギー白
給率の低下を見据えたイギリスも「スマートメーター」を2019年までに全世帯・企業に設置する。
「スマートメーター」は、いずれHEMS(ホームーエネルギー・マネジメントーシステム)を介して、家電やEV、PHVなどともつながり、そのクルマの領域でSSともつながる。さらに開放的なキャノピー上面を有するSSは、太陽光発電の適地であり、大出力の燃料電池を備えれば、所在地域向け分散型発電・給湯所となる方向性もありだろう。
災害対応力の強い設備と地下タンク燃料を有している強みがある。
日本でも再生エネ法が成立、まだ詳細は決まっていないが、固定買取制度の導入も決まっている。神奈川、愛知、京都、福岡の4地区で始まった「スマートシティー」では、EV関連でSSが組み込まれている例はあるが、まだ脇役である。未来を担うSSは、ただエネルギーを売るだけ、という仕事ではなくなる。人材と人材を育成する力が企業個々に求められる。採算割れ安売りはその未来への道を閉ざす行為だ、ということを肝に銘じたい。