日刊ニュース

2011.10.27 のニュース

3次補正 SS、石油基地の復旧対策を ―ガス田買収で出資金を増額計上―

 経済産業省は、平成23年度の資源・燃料関係の3次補正予算案をまとめた。東日本大震災からの復興と円高対策、資源確保を基本としている。総額は約609億円となっており、28日には国会に提出、審議に入り11月中旬に成立を狙い、直ちに独行する。原則としては来年3月末までに執行することになるが、計画が採択されれば来年度に遅れても推進することが可能となる。
 大枠では、①東日本大震災の復旧事業で135億円、災害に強い石油・ガスの供給拠点擬備が151億円、③資源権益の確保で323臆円、となっており当初の要求が、ほぼ織り込まれている。
 石油業界完売・精製、販売業界は、サプライチェーンの復旧、強化・維持のための予算が計上されたことになる。天坊・石油辿盟会長は「3次補正予算では、石油業界の要求が
受け入れられている」と述べている。
 主な項目をみると被災地の販売業の再建支援で23億円を要求している。灯油のミニローリー、SSの機能回復、地上タンクの復旧を支援する。
 被災地のSS地下タンク環境保全対策事業では87億円となっている。被災地域を中心に全国的な防災をはかる観点から一定の埋設年数を経た地下タンクを有するSSの危険
物漏洩防止対策を支援する。
 また災害対応型拠点石油基地整備事業で100億円となっている。被災地の石油基地(仙台など)を選定して災害対応能力を強化する。
 被災地の災害対応型中核SS等の整備事業では40億円となっている。SSに自家用発電機を設置するなど、災害対応能力を強化し、緊急車両や地域の重要施設に対して、石油製品を供給するSS等の拠点を整備する。被災地域石油ガス安定供給体制整備事業は11億円となっている。
 被災地のLPガス充填所のうち、中核的な施設を「災害対応中核充填所」として単独でも安定的な供給が期待されるような体制を構築することになる。さらに、。仙台ガスターミ
ナルの基地機能の復旧支援で20億円となっている。
 石油開発業界に対しては、探鉱・資産買収等出富豪出資金(JOGMECによる出資)で203億円となっている。円高メリットを活用しつつ、わが国企業によるガス田の買収を支援(50%出資)するものである。原発の運転停止に伴うLNG発電用の天然ガスの供給確保を目的としている。天然ガスとしているが、原油開発の権益確保にも出資を対象としている。
 同じくレアアース等の鉱山の権益買収出資金で80億円を要求している。中国の輸出抑制策に対抗して、鉱山開発・権益確保を狙う。来年度予算でも約800億円を要求してお
り、合計で1000億円規模となる。大規模な予算となっているが、今後はJOGMECが直接権益を確保できるよう法改正を検討している。円高、電力のLNG供給対策で天燃ガス開発が緊急を要することになり、予算規模が一気に拡大した。為替が76円/ドルと円高で推移しており、輸出産業は、業績悪化か深刻であるが、石油開発業界では、鉱区権益の取得、油田・ガス田の買収がドルで決済するため、円高メリットが発生するため有利となる。このような追い風の時期に、権益確保プロジェクトが実現するのかは今後の審議次第となる。


提供元:株式会社 石油タイムズ社
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