2011.10.31 のニュース
価格とSS。大きく揺らぐ基盤
0.1円と1円。SSが自らの卸価格を動向を予見する意味で、重要な卸指標が、2週前に大きく異なる動きを示した。値上がりというベクトルは同一だったが、受け取りようによっては、値動き自体の倍率は10倍、片やほぼ横ばい、片や明確な値上がりという意味合いになる。翌週は0.9円と1円値上げの同レンジに収まったが、累計では1円と2円となり、正味格差は拡大した。今週末の後者は据え置きアナウンスとなった。
わずか1円、という見方も当然あるが、数量の大きな取引を伴う向きには無視できない値幅であり、されど1円となる。両指標ともに、ガソリン卸相場に対する牽引力は強力だから、多くの石油製品関係者がこの動向を注視している。
かつて経験のない前年比で10%近い規模の縮小が、半年以上にわたって続くガソリン小売市場。そこでは卸市場よりも、さらに価格動向に敏感にならざるを得ない空気が覆う。
卸市場の値動きは拡幅される傾向があるが、激戦地を抱える地域間での小売格差の拡大、一部激戦地での市場崩落症状の出現、さらに関東のプライスリーダーが演じた短期間の上
下動など、価格に対する過敏な反応が、混乱を伴って数多く出現した。
その混乱を生じさせた背景に、どんな力学が作用したのか、という疑心を生む。一般論的に、上方改定が必至という客観情勢の中で、逆張りに出る商法もあろうが、その疑心は
不透明な卸体系を確信犯として、その温床へと向かっている。
我々の小売価格のベースは卸価格であり、卸価格のベースは原油価格と製品別の指標価格である。原油の相場変動は、米国の在庫増や欧州の経済危機の影響を受けつつも、アジア全域で透明度が確保されている。問題は製品別の指標であるが、これがなにをペースに値固めされているのかが、ほぼブラックボックス状態にある。
原油高見合いで、出血しているものと見られるガソリン卸相場は、今週まで2週連騰となったが、どうやら今週末からは「売れ行き不振」という市場原理によって、腰折れ懸念
が出始めている。さらに大きな周回遅れが生じてしまっている小売市場は、この大穴を埋める市場修復が欠かせない。SSの経営基盤の再構築へ向け、まず現状の最大課題である小売市場の修正へ、元売も我々SSも全力を傾注すべきだ。