2011.11.01 のニュース
仕切価格の値下げに比べ ―末端市況の下落は大幅にー
ガソリンの仕切価格は15日、22日と連続して値上がりに転じてきた。原油価格の値上がりに連動したもので、8月から連続して値下がりしていた仕切価格は、ようやく下げ止まりから値上がりとなった。仕切価格は値上がりに転じたが、末端市況は、直ちに値上がりせず、まだ小幅な値下がりとなっている。
JX日鉱日石エネルギーの10月のガソリン仕切価格(平均)をみると、9月に比べると1円90銭/Lの値下がりとなっている。上旬の仕切価格が値下がりしたためである。この平均価格の改定幅は週次改定幅を日数加重平均して算出したもの。改定幅の上げ、下げを累計したものではない。仕切価格は8月が2円20銭、9月が3円90銭、10月が1円90銭と連続した値下がり、3ヵ月で8円の値下がりとなる。
一方、石油情報センター調査のガソリンの末端市況は8月の初めが151円であったが、足元の24日は143円となっており、8円の値下がりで仕切価格の平均と同額の値下がりとなっている。双方の数字をみると、仕切価格の値下がり幅と末端市況の値下がりとが合致することになる。
しかし、末端市況の実勢でみると、首都圏の街道沿いは140円を割っており、135~6円、安値販売は130円割れが散見され、8月に比べると10円以上の値下がりとなり販売業者はマージン減となっている。
販売業者サイドは『仕切価格の値下がり以上に末端市況は下落しており、マージン減となっているため、SS経営は厳しい状況にある」との見方をしている。とくに夏場の需要
期で減販となり、価格競争が展開されることになった。台風の到来、洪水など天候による影響もあったが、東日本大震災の影響でユーザーの節約も浸透して販売減となった。
そのため供給増(在庫増)となり、業転市況も安値となったため、HCなどが先行して値下げしたことから系列SSは苦戦となった。
価格体系の新・新体系への移行で、仕切価格にブランド料が加算されたことから、仕切価格と業転市況との間に大幅な価格差が生じる結果となった。系列業者ら「業転市況を値
上げするか、仕切価格を値下げすべきである」との声が出ているが、値決めとなると個々の商取引きであるため、要望が通ることはない。その不満が石商、全石連に持ち込まれるが、解決策はない状況である。
仕切価格の値上げを受けて、これからユーザー転嫁に取り組むが、市況は連続して下落しているだめ、様子をみる構えの地区もある。原油価格が急騰すれば、一気に転嫁となる
が、為替が75円/ドル台の円高の最高値を更新しており、販売業者の対応を難しくしている。円高のコスト変動は、週決めの仕切価格に反映されているため、円高を名目にして値下がりすることはない。最近の仕切価格は、原油価格、業転市況の値上がりを反映しているもので、円高分も加味されて市況は形限されている。
いずれにしても、今後の原油価格の動向がポイントとなるが、WTIは94ドル/バーレル、9月平均の89ドルに比べると8ドルの値上がりをみせている。中東産は107ドルで推移、9月平均の106ドルに比べると、ほぼ横ばいで推移している。WTIが変動しているが、中東産は安定しており、見通しを難しくしている。