2011.11.09 のニュース
原油高で上期の石油開発は増益 ―下期も同程度の利益を見込むー
2011年度の上期の石油開発企業、元売の石油開発事業の決算が出揃った。原油価格、天然ガス価格の上昇で増益の好決算となった。石油開発の場合は、生産中において原油価格が上昇すれば、生産コストに変化なく即増収となる。産油国と開発企業の取り分は、プロジェクトの契約によって異なるが、生産分与方式、サービス契約(原油価格が変動して
も取り分は一定)などあるものの、原油高、円安で推移すれば販売価格が値上がり開発企業は増収、増益となる。
原油価格の指標となる上期平均のドバイは109ドル/バーレル(前年同期が76ドル)で、前年比33ドルの値上がり。ブレントは115ドル(78ドル)で36ドルの値上り
となった。為替は80円/ドル(89円/ドル)で9円の円高となった。原油価格の値上がりが39ドルを超える大幅な値上がりとなり、為替が円高で推移したが、円高の減収分を相殺し増収、増益となった。
各社別でみると石油資源開発の経常利益は79億円(49億円)で30億円の増益、純利益は63億円(19億円)で44億円の増益となった。国際石油開発帝石の経常利益は3324億円(2201億円)で1123億円の増、純利益は743億円(506億円)で237億円の増益となっている。
元売のセグメント別で石油開事業をみるとJXR鉱日石エネルギーの経常利益が519億円(321億円)で198億円の増益、コスモ石油は252億円192億円)で60億
円の増益、出光興産は営業利益が121億円(137億円)で15億円の減となっている。原油高で増益となったが、探鉱費の増加によるものである。
このように石油開発企業、元売の石油開発事業は、増益となっているが、原油価格の値上がりが要因である。ドバイでみても4~6月が111ドル、7~9月が107ドルで推移、上期の平均が109ドルという高値で推移したことになる。ブレントは115ドルと、さらに高値となった。ドバイ、ブレントは、前年同期に比べると39ドル以上の大幅な値上がりとなった。原油価格の指標となっているwTIに比べると20ドル以上も高値で推移しており、9月末に値下がりしたものの、100ドルを維持するなど、WTIは80ドルを割って79ドルとなったことに比べると高水準となっている。足元は100ドルを越えて105~110ドルで推移しており、下期は100ドル台が見込まれている。
原油価格の見通しは、ギリシャなどの欧州の財政危機による不況で石油需要の減少、リビアの政情回復など原油価格の下落が予想された。新興国の高度成長にかげりが出てきた
などの点から需要減、原油価格の下落が見込まれたが。依然として高値が続いている。原油価格100ドル超えが続けば、石油開発事業は、好決算となる。下期も上期と同程度の利益が見込まれている。
一方、為替は円高が続き、日本の輸出産業は円高不況で苦慮しているが、石油開発業界は円高メリットを享受している状況にある。利権獲得、油・ガス田の買収はドルベース契
約となる。円高となれば、円換算では安くなるため、油・ガス田を買収するチャンスとなる。そのため政府はJOGMECの出資を増額する予算措置を講じるなど追い風となっている。