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「許しがたい暴挙」 2011年02月22日更新

ロシアのメドベージェフ大統領が日本の北方領土を訪問したことを受けて
菅首相が「許しがたい暴挙」と国会の場で非難した。この発言に違和感を持ったのは筆者だけだろうか。たしかに北方四島は日本の領土であるというのが 一貫した日本の主張でありそれなりの根拠もあろう。しかし一方でロシアが現在この四島を実効支配しているのも事実である。その四島をロシアの大統領が訪問したからといって これを果たして暴挙と言えるのだろうか。

相手はいやしくも大国の首長であり外交的にそれなりの敬意を払った言葉遣いがあってしかるべきではないか。のみならずロシアは資源国でありLNGなどの
エネルギーの日本への供給も今後拡大の方向にある。日本のエネルギーは殆んどが輸入に頼っている現状だが そのすべてが南方からの輸入でありロシアのような北方からの輸入は貴重なのである。さらには今後中国の存在感が極東で増していくのは避けられないが こうした時にロシアとの関係を改善していくのは日本の安全保障にとっても大切であろう。

その為にはロシアとの平和条約締結に向けて努力を払うのが大前提ではないのか。そうした時期に両国間で無用の摩擦を生むような発言を日本の首相が行ったことは真に残念でならない。ロシア大統領の北方領土訪問に不快感を表明するのが目的であれば せめて「容認できない」とでもしておくべきであったろう。ロシア側から「許しがたい暴言」といった反発がなかったのはロシアの方が政治的に大人であるということだろうか。

先日北方四島に中国企業が進出という見出しが日本の新聞に躍った。あまりにもタイミングが良すぎるので目を引いたが よく見ると中国がなまこの養殖をするということらしい。それにしては派手な見出しであったが 北方四島に産業を誘致したい意向を示し日本がいやなら中国とやるよとけん制する目的でロシアが流したニュースではなかろうか。だとすれば北方四島の実効支配にともなう経費の負担がロシアとして重荷になっていると推測される。

そろそろ日本もいつ解決できるか見通しの立たない原理原則に拘っていないで
ロシアとの経済協力に積極性を示して平和条約締結に向けて舵をとり 両国間の関係をより密なものとして暖かな気温の下で手を握ることを考えてはどうだろうか。資源にめぐまれているが技術と資金に欠けているロシアとその反対の
状況にある日本は普通に考えれば理想的なパートナーになれるはずなのだが。

(一本杉)

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