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課題優秀バイト確保 新インセンティブ導入も 2001年06月27日更新

今年は厳しいと言われた昨年、一昨年より一層口銭が低下し情勢は厳しくなっている。そのため経費削減がSS業者の緊急最重要課題となっている。特に人件費をいかに削るかが石油販売業者の悩みの種だ。そのため正社員ではなく経費のかからないアルバイトにSSの中核を占めさせる業者が多くなっている。したがっていかに質の良いアルバイトを確保するかといった他に、優秀なアルバイトをいかに流失させないかも重要な課題になってきている。
全国石油協会の調査(平成11年4月~平成12年3月)によれば、アルバイトの平均時給は791円となっている。これが高いか安いかは議論の分かれるところだ。しかし傾向としては1ヵ所運営の小規模業者は割高な時給、10ヵ所以上SSを運営し数多くのアルバイトを採用しろ大規模業者は時間給が比較的安くなっている。
 だがSS業界のアルバイトが他業界と違うところは、個人の売り上げに対しインセンティブをつけている場合が多い点だ。事実10ヵ所以上運営する大手のSS業者では、安い基本給をインセンティブで哺っている場合が多々見られる。
 SSのアルバイトはその職務内容上、油外商品を顧客にすすめなければならない。しかし時給が変わらなければ積極的に声掛けをするこどもないため、その対策として個人インセンティブをつけ、バイト同士の競争心を高める方法を取るSSが多い。
 インセンティブの金額はSS業者によってまちまちだが、もっとも一般的な方法が油外収益の売上金額に応じて何%といったやり方だ。この方法は90年代に一般的になってきた手法で、特に量販系のSSで多く見られる。
 しかし実はこの手法では単純に勤務時間が長いアルバイトに有利なため、能力のあるアルバイトを選別できないと、新しい形態のインセンティブ仝導入する動きが出てきた。アルバイトが自身の時間給分を、1時間で稼げたかどうかで判断するシステムだ。
 洗車、オイル、水抜き剤など油外収益で時給800円なら800円分以上の油外売上をあげなければどんどん時給が落ちてしまう仕組みになっている。当然、時給以上の売り上げならその額に応じて時給も上がっていく。これなら差別なく個人の能力が如実に測れるうえ、優秀なアルバイトを囲い込める一石二鳥の方法として一部SSで導入されている。
 サバイバルの様相を呈しているSS業界では優秀なアルバイトを確保することは急務となっている。アルバイトのインセンティブ制度もそれに合わせ進化しており、より優秀な人物を選別できる先鋭的な制度が登場しつつある。今やSSの中核戦力であるアルバイトは、そのSSの命運を決める存在になっていると言える。だがこの手法も働く時間や曜日で差がつきやすい、といった欠点がある。また今回は詳しく述べていないが、あまりにもインセンティブで個人競争をあおるとアルバイト同士のチームワークがなくなり、SS運営に支障がでると、インセンティブ制自体を廃止する動きもある。
 他にも極端なインセンティブ制を取った場合、「確実な給与が期待できない」とアルバイトがインセンティブを採用するSSを敬遠するケースも出てきている。アルバイトを増やしインセンティブ制を取る最終目的は経費削減と油外収益の売り上げ増だが、将来的な話としてむやみにアルバイトを戦力として頼り、今後の会社運営をどうするのか、といった根本的な問題も出てくる。なかなが両方を満足させる制度は確立されていないのが現状だ。

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