日刊ニュース

2011.12.14 のニュース

災害対応型SSは増強されるが ―SS激減で過疎化問題が表面化―

 経済産業省は、資源・燃料の安定供給に向けた対策を練るために有識者との意見交換会を立ち上げた。有識者会議に経産省が、叩き台を提示して審議に入り、先行実施計画をま
とめ、この計画を基に緊急時対策として来年度予算要求、備蓄法の改正などに取り組むことになった。現在、エネルギー基本計画の見直しを審議している総合資源エネルギー調査会・基本問題委とは別組織となっており、エネルギー・環境会議で決定の「エネルギー需給安定行動計画」(11月1日)を踏まえたもので、資源確保を重点策にしており、経産省
が主導してまとめ、予算要求、新しい政策を打ち出すことになった。
 うち、国内の石油安定供給確保策では、東日本大震災により製油所、油槽所、SS、ローリーが被害を受けて石油の供給網が遮断されて混乱したため、緊急時対策として災害に強い製油所、油槽所、SSづくりが急務となっており、すでに、補正予算、来年度予算要求を行なっている。
 今回の震災に際しては、被災地の電気、ガスの供給が停止し、復旧に時間がかかったが、これに比べると、石油の復旧が早く、SSが分散型エネルギーの供給拠点として安定供給の立場から役割を果たしたことが評価されている。
 過去においても阪神大震災、新潟地震でSSが地震に対しては強いことが実証され評価を受けている。そのため石油販売業界では、災害対応型SSの増強に取り組んでいたが、今回の震災を機に、さらに強化することになった。今後は、元売サイドも災害対応型SSの増強などに取り組むことになり、特約店への支援にも力を入れることになっている。
 一方、全石連では、緊急時に備えて、平時から石油の供給情報を収集するための「緊急時供給円滑化法」(仮称)の制定を要謂している。この法案を、資源エネルギー庁が本腰
を入れて検討するのかは、今後の対応をみることになるが、今のところ問題提起に止まっている。行き過ぎた規制緩和により、展開された過当競争で、販売業界は体力が弱りSS数も激減している。平時での安定供給にも問題が生じる状況となりつつあり、秩序ある競争ができるような市場つくりを求める声が出ている。
 災害対応型SSについては、国の支援で、太陽光発電、自家発電機を設置するものであり、予算が確保できれば増強される。今回も地震災害で停電となりSSの計量器が稼働せず、ガソリンなどの給油が不可能となった。そのため平時から自家発電器などを常設するもので、元売も独自で災害対応型SSの増強を行なっている。
 しかし、一方ではSSそのもの減少が加速しており過疎化問題、離島対策がクローズアップされており、販売業界では、その支援策を求めている。SSはピーク時には6万SSあったが、今年3月末では3万877SSに減少しており、今後も年間約2000SSの減少が予想されている。ガソリン数量も年間で3~4%減が見込まれていることもあり、SSの減少は、僻地での灯油の供給が難しくなるなど今後は社会問題に発展しそうである。SS不足は、今のところは地域的に限定されるが、このまま減少が進めば、各地で供給問題が発生するため、SS不足問題も検討する時期にきている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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