日刊ニュース

2014.11.04 のニュース

13年度の悪夢を繰り返さない

ガソリン小売価格の値下がりが止まらない。27日時点のレギュラー価格は前週比2・1円安の161・8円と15週連続で値下がりした。4月からの消費増税と地球温暖化対策税のW増税後の最安値を更新するとともに、7月14日記録した今年度最高値の169・9円から8・1円の値下がりとなった。
 原油コスト変動の要因となる為替相場は2012年11月半ばまで1ドル80円台の歴史的な円高水準が続いたが、第2次安倍内閣が掲げたアベノミクスによる大胆な金融緩和政策などにより急速に円安が進み、現在、110円台をうかがうような状況となっている。この急激な円安が最近の原油円建て価格下落の足かせとなっているものの、ドル建て価格自体も、6月にはイラク情勢の急速な悪化による地政学的リスクの高まりに反応して115㌦前後まで上昇したが、9月には100㌦台を、10月には90㌦台を割り込み、ついには80㌦台前半まで急落した。これに伴って元売各社は五月雨的な卸価格の値下げを続け、小売価格も歩調を合わせ値下がりが進んだ。
 イラク情勢やウクライナ問題などの地政学リスクは潜んでいるものの、欧州経済の低迷や中国の成長鈍化など需要を下支えする動きは鈍く、原油価格は11月末のOPEC総会を見据え、一進一退の状況を繰り返していくとの見方が有力視されている。
 一方、原油価格変動の影響が直撃する石油精製業の経営状況をみると、売上高で25兆円(13年度決算)にのぼる巨大産業であるが、営業利益は1491億円にとどまる。こうした収益体質のぜい弱性は資源エネルギー庁が今年6月末に公表した産業競争力強化法第50条に基づく調査報告でも浮き彫りにされた。特に13年度は、石油精製業による石油製品出荷額の50%以上を占めるガソリンの需給バランスが崩れたことなどによって、春先から国内市況が悪化し、石油精製業の収益は大きな打撃を受け、これに引きずられる形で石油販売業もガソリンの過当競争に巻き込まれ、廃業・撤退に追い込まれる中小販売業者が相次いだ。
 製品価格の値下がりは、急速な需要減に見舞われている石油業界にとっては「需要回復の好機到来」と、先走って値下げを仕掛ける量販業者の拡大が強く懸念される。精販ともに収益の空前の落ち込みを記録した13年度の悪夢を繰り返さないよう冷静な対応が求められる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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