日刊ニュース

2016.12.26 のニュース

厳重注意ではないのか

 大手異業種SSによるガソリン廉売行為は専業SSにとって最大の脅威の1つである。現在、国内市場において急速にSS網を拡大している大手異業種といえば、米国系流通大手のコストコホールセールジャパン(本社・川崎市)だ。同社は2015年6月に業界参入して以来、わずか1年半程度で5SSを新設させた。
 5SSは東北・中部エリアにとどまっているが、来年以降は関東、近畿へのSS進出が確実視され、進出エリアの激戦地化が懸念されている。災害時における重要性などを踏まえ、国民生活に必要不可欠なライフラインと言われるようになったSS網が寸断される危機が広がっている。
 コストコSSのうち、特に廉売競争が深刻化しているのが、愛知県常滑市のりんくうタウンにある中部空港倉庫店周辺である。昨年12月には公正取引委員会が独禁法第19条・不当廉売の規定に違反するおそれがあるとして、同店などに対して警告処分を行った。「不当廉売申告からわずか1ヵ月強で警告する」というこれまでにない異例の早さだったことからも当時の廉売競争の著しさがうかがえる。
 ただ、この警告は一罰百戒とはならず、コストコSSと周辺PBSSの廉売競争は収まらず、不当廉売申告はその後も続いている。その結果、今年に入って5月、8月、10月と3回も不当廉売につながるおそれがあるとして、注意が出されている。廉売競争がエンドレス化に陥っているとみるべきではないか。
 公取委が2009年に示した『ガソリン等の流通における不当廉売、差別対価等への対応について(ガソリン不当廉売ガイドライン)』をみると、公取委の不当廉売に対する対応について「過去に注意を受けてもなお再び注意を受けるような事業者に対しては事案に応じて、①責任者を招致した上で直接注意を行うほか、②周辺の販売業者に対する影響が大きいと考えられる場合には、簡潔迅速な処理によるのではなく厳正に対処する」などと明記されている。
 いわゆる厳重注意と言うものだが、今回のコストコ中部空港倉庫店は1年に満たない期間で警告1回、注意3回が出されながらそうした対応があったとは聞こえてこない。公正・透明な市場構築は業界の悲願であり、原価割れにつながるような廉売行為はその願いを打ち砕くものでしかない。行政機関においても適正な対応を切に願いたい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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