日刊ニュース

2016.12.26 のニュース

これ以上、SSを減らすな!

 島根県江津市と広島県三次市を結ぶJR三江線は、来年度末での廃線が決定した。利用者が極端に少ないが故の廃線決定とはいえ、これにより両県3市3町の住民の足はバスとマイカーに限定されることになり、中山間地域の住民にとっては車への依存度が一気に高まる。
 車への依存度が高まればSSの存在がより重みを増すが、島根県の組合員SS数はこの10年で30%減少。一方の広島県三次市も35%の減少と、同程度の減少率となっている。大都市圏に比べると減少率はむしろ低いほうだが、もともとSS数が少ない中山間地域や地方都市でのSS減少は、地元住民にとってより深刻な意味を持つ。
 今年で5回目の石油増税反対総決起大会が16日に開催され、全国から石油業界関係者500人が結集した。今回は「石油サプライチェーンの維持強化」を初めてスローガンとして掲げ、従来からの増税反対の主張に加えて、喫緊の課題として『これ以上ガソリンスタンドを減らすな』という強烈なメッセージを打ち出した。
 さらに、「石油サプライチェーンの維持強化」に反する動きとしてVOC問題を決議文に明記。ベーパー回収装置付き計量機(ステージⅡ)の導入が義務付けられれば、1SS1千万円の導入費用が経営を圧迫しSS減少が加速、さらにステージⅡの導入がそもそも不可能なノンスペースが都市部ではかなりの割合を占め、これらは大半が撤退を余儀なくされることから、環境省の方針に断固反対の姿勢を示した。
 逆に「石油サプライチェーンの維持強化」に資する動きとして、官公需への対応を明記。閣議決定に盛り込まれた「中小石油販売業者に対する配慮」を踏まえ、地方自治体等に対して、災害時だけでなく平時から中小石油販売業者の受注機会の拡大に努めるよう強く求めた。
 共通するのは“SSをこれ以上減らさないため”という大前提であり、それは災害時にSSが地元住民にとって欠かせぬ存在となり得ることに裏打ちされる。中山間地域はもちろん、多くの地方都市におけるその重さは、大都市圏の比ではない。全国の石油販売業者が一堂に会し、鬨(とき)の声を上げた意義がそこにある。国に声が届き、「石油サプライチェーンの維持強化」につながる施策が打ち出されることを祈念したい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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